新元号には安倍首相の「安」が入る? 噂の真相を専門家に聞いてみた
いよいよ4月1日に発表される新元号。今回は生前退位ということで、SNSやアンケートで予想合戦が繰り広げられる異例の事態に発展している。
特にここにきて囁かれているのが「安倍首相が権力を誇示するために『安』をねじ込んでくるのでは?」という噂。「そうなったらもう元号は使わない!」など、一部では想像を膨らませてエキサイトしているが、「元号の選定プロセスを考えれば、見当違いな話」だと社会学者の鈴木洋仁氏は指摘する。
「そもそもこうした話が出てくるのは、1979年に制定された元号法により『元号は、政令で定める』として内閣に決定権が委ねられたから。しかし、同時に『元号は、皇位の継承があった場合に限り改められる』と、一世一元であることも定められています(皇室典範の存在しなかった明治以前は、天皇が在位中に改元することがあり、一世一元ではなかった)。
この一世一元により、元号は単なる暦としてだけでなく、天皇の諡号(しごう)、すなわち諡(おくりな)として、崩御後の天皇の名前として機能することになりました。先代の裕仁天皇が一般的には『昭和天皇』と呼ばれているように、元号は天皇のお名前でもあるのです」(鈴木氏・以下同)
元号の選定要領については、「国民の理想としてふさわしいよい意味を持つこと」、「漢字2文字であること」、「書きやすいこと」、「読みやすいこと」、「過去に用いられた元号ではないこと」、「俗用されているものではないこと」、「1文字15画まで」といった事項が定められている。
その他にも不文律として「頭文字が明治(M)、大正(T)、昭和(S)、平成(H)以外のアルファベットになること」など縛りがあるが、この中で、もっとも厄介なのが「俗用」であると鈴木氏は言う。
「天皇のお名前でもあるからこそ、人名や地名、商品名や企業名であってはなりません。それこそ中国やベトナムの中華料理屋の屋号で使われていないかまで調べる必要があります。平成の時は岐阜県にある地元の人だけが使っている地名(こあざ・小字)とかぶってしまいましたが、そのレベルまで慎重にケアしなくてはならない。そうなると、十分な準備期間が要求され、不測の事態まで想定すれば、即位後からすぐに候補がストックされていると考えるのが自然です」

「俗用」がもっとも厄介
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