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自衛隊の「武器・弾薬・燃料・人員」は十分か?

武器弾薬人員めぐる惨状

 月刊『正論』4月号に元一等海佐の星山良一氏が「防衛予算増やせども・・・武器弾薬人員めぐる惨状」という驚くべき内容の記事を寄稿しています。その中で「訓練弾すら十分に充当できない現状を考えれば実弾が十分に満たされているかについては疑念を抱かざるを得ない。仮に充足されていたとしても、ミサイルや魚雷などは定期的に分解整備する必要があり、その分を含めた予備弾が確保されていなければならない。現政権になって防衛関係費は増額されているものの、F-35やイージスアショアなど正面装備にかかる経費が増えているため、艦艇修理費などの後方経費は毎年削減されている。」と記されています。
陸上自衛隊

陸上自衛隊twitterより

 さらに、「弾薬庫における保管数には、換爆量と保安距離等に関する規則による限度がもうけられている。弾薬庫の数が昔と大して変わらない現状からは、必要十分な弾薬が備蓄されているとは考えにくい」という具体的な恐ろしい現実も書き記されていました。  実際に、弾薬庫建造については多数の計画はあったものの、政府の予算削減・合理化の流れの中で計画は次々中断されています。また、予定地候補にできそうな防衛省の土地建物もどんどん売り払われています。このまま国の土地の売却が続けば、基地や駐屯地との補給ラインが整った場所が残っているでしょうか。我が国には「国有地を売却して、国庫の黒字化に努めるべき」という感覚がありますが、それは一方で国家存亡の危機に国防や救助に使える候補地を減らすことにもつながっているのです。

「火薬類取締法」という厳しい法律

 また、我が国には弾薬保管に関し「火薬類取締法」という厳しい法律があります。自衛隊もこの法律に則った弾薬備蓄庫を作らないといけません。つまり、相応する広さの土地と予算がなければ弾薬数を増やすための保管場所すら作れず、入れ物がなければ備蓄する弾も買えないということです。  たとえば、宮古島に陸上自衛隊が配備されましたが、弾薬庫建設に対して反対運動が起こっています。住民への同意を得て弾薬庫を作るにはかなりの歳月がかかります。いくら自衛隊が優秀でも備蓄する弾薬庫がなく、弾が無ければ何もできません。国防力には十分な備蓄が不可欠なのです。
火薬運搬標識

火薬運搬標識

 なお、この「火薬類取締法」は自衛隊の弾薬輸送時にも適用されます。高速道路などで自衛隊車両が「火薬類取締法」で定められた危険物のしるしをつけて弾薬を運んでいる姿を見かけますが、平時には問題ないでしょうが、有事にはこれは敵にとっては絶好の「マト」となります。テロリストが我が国を狙っているなら、このことには気づいているはずです。
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テロの危険性も高まる
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