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「発達障害と就職試験」当事者の切実な悩みとは?

就職試験

※写真はイメージです

どうして不採用になったのだと思いますか?

中本「……で、転職なんですけどね」 光武「そうでしたね。転職」 中本「やっぱり転職が難しいのって、僕が役に立たないからなのかなって」 光武「そんなことないですよ。障害のあるなしにかかわらず、転職ってニーズの問題だと思うんですよね」  実は発達障害を取り巻く就労の環境はかなり改善されてきています。最近では障害者の法定雇用率も上がり、障害者手帳を取得して障害者雇用を希望する方にとって、微弱ですが追い風が吹いている傾向を感じています。ですが、一般枠でのクローズ採用(障害があることを隠したまま働くこと)なのか、また、就労移行支援事業所での経験のあるなしでも、転職活動の状況は大きく変わってきます。中本さんの場合、クローズで働いていることもあり、より転職に関しての難しさを感じていらっしゃるのかもしれません。 光武「ちょっと込み入ったことを聞きますけど、どうして不採用になったのだと思いますか?」 中本「それがよくわからないんですよね。分かれば僕もスッキリするんだけど」  発達障害の方、特に自閉的な傾向が強い方の特徴なんですが、自分の見ている世界と、一般的な視点からみた世界とのズレがあったとき、自分の見ている世界の中から出てくることを拒否される方が一定数いらっしゃいます。前回の楠田さんも、そうした傾向が強い方でしたから覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか? 就職に関して、この自閉的傾向は非常に不利に働いてしまうケースが多いと僕は思っています。というのも、自分から見える視点でばかり語ってしまうので、第三者(つまり企業側)から見た自分を具体的にイメージできにくくなるからです。
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発達障害の方は本当に正直に発言してしまう
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(みつたけ・すぐる) 発達障害バー「The BRATs(ブラッツ)」のマスター。昼間は予備校のフリー講師として働く傍ら、‘17年、高田馬場に同店をオープン。’18年6月からは渋谷に移転して営業中。発達障害に関する講演やトークショーにも出演する。店舗HP(brats.shopinfo.jp) ツイッターアカウント「@bar_brats

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※ユーチューブチャンネル「ぽんこつニュース」でも光武さんが発達障害バーの日々を配信中

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