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スマホ料金「4割値下げ」のウソ。iPhoneなど機種代は値上げ、得するのは政府だけ…

総務省がドコモに無理やり値下げ

 ドコモが改正電気通信事業法の成立前に“前倒し”で値下げを発表したのは、2020年から実用化が予定されている5G(第5世代移動通信システム)の影響もありそうだ。長年にわたって、国内外でモバイル業界の取材を続けるスマホ/ケータイジャーナリストの石川温氏が話す。 「現在、総務省が5Gの周波数の割り当てをする直前ということもあり、キャリア各社は許認可事業ゆえに、菅官房長官の『電波は国民の財産』という言葉に歩み寄らざるを得ないのです。  先に『4割』という数値目標を提示されたために、その数字を達成しようとドコモも4割値下げプランをひねり出したが、データ容量1GM未満しか使わないユーザーは限られ、多くのユーザーは安さを実感できないと思います。  しかも今回、総務省がドコモに無理やり値下げさせたことで、新規参入組の楽天モバイルは出鼻をくじかれ、格安スマホも苦戦を強いられることになる……。本来なら、3大キャリアの料金が高いままの状態で、楽天などが安さを売りに参入し乗り換えが進むはずだった。  そうなれば、自然と大手3社も値下げに追随することになり、公正な競争が実現しますから。それが、ドコモが“前倒し”で値下げを発表したことで、乗り換えの動きが鈍くなるのは間違いない」

注目の中古スマホ市場もいずれ縮小することに

 キャリア3社による寡占状態を解消し値下げの動きを加速させるために、総務省が新規参入組の楽天モバイルを優遇しそうな節もある。先ごろ、通信料金と端末代金の「分離」に関して、楽天に限り「適用除外」とすることを検討しているとの報道もあったからだ。だが、石川氏は「その見通しは暗い」と否定的だ。 「楽天の三木谷浩史社長も『我々のテーマは携帯電話の民主化活動であり、(分離プランの適用除外という)選択肢を取るつもりはない』と否定しているように、正々堂々と戦うつもりのようです。  ただ、楽天には頑張ってもらいたいが、携帯電話のビジネスはネットワークがもっとも重要で、これを一から築いていくのは至難の業。莫大な投資も必要ですし、アンテナを建てる場所を確保するにも、目ぼしい場所にはすでに大手3キャリアが設置している。  日本よりも遥かに大きい米国市場でさえキャリアは4社から3社になりつつあり、楽天が苦戦を強いられるのは必至。  定価販売となる端末が高くて売れなくなれば、スマホメーカーも苦しくなるし、新製品が売れなければいずれ中古市場も縮小する。スマホが売れなければキャリアの実店舗も減るので、ユーザーは今より不便になる……。  ドコモを始めとする大手キャリアも犠牲者であり、結局、得をするのは料金値下げで手柄を挙げたかのように見える政府だけなのです」(石川氏)
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