更新日:2023年03月21日 15:53
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「令和」ドミノ倒し222メートルを成功させた、平成生まれたちの想い

多くの協力者を集めた共通の価値観

改元ドミノ 会場全体が固唾を飲んで見守るなか、23時55分ごろに最初のドミノを倒し始めると、途中で止まることなく約5分間かけてドミノ倒しは大成功。ドミノの倒れるスピードが意外と遅かったため、改元と同時とはいかなかったが、5月1日0時1分ごろにはすべてのドミノが倒れ切った。 改元ドミノ ドミノ倒しを成功させたツマミ氏は「平成の30年間をドミノで一直線に表現することができました。仲間たちと力を合わせて素晴らしい令和の幕開けを迎えることができ、うれしいです」と笑顔。徹夜続きで心身ともに限界を迎えていたが「ドミノが倒れる前に私が倒れなくてよかった。無事成功して、ほっとしています」と安堵した。  ツマミ氏はこれまでも「生まれてから1万日目(27歳と4カ月半)に1万本のロウソクを吹き消す」、「渋谷ハロウィンで『もらった仮装』を全部着る」などのイベントやブログ企画を行っており、平成から令和への改元でも、何か企画したいと考えていたという。  当初は「大正・昭和・平成の三世代で飲み会を開く」、「改元の日に出産する」など構想を練ったが、飲み会は面白みに欠け、出産は現実的に実現不可能であるため、最終的にドミノ倒しをやろうと決めた。 改元ドミノ それにしても驚かされるのは、無償でこれほど多くの人々が集まり、徹夜でイベントに協力した点だ。その理由は「みんなで何かを成し遂げる」ということの面白さに魅了されたからだと、イベント参加者たちは口をそろえる。  参加者の一人の天谷窓大さんは「本当に楽しかったです。お金をかけて旅行や温泉に行くのもいいけれど、こうして自分たちで考えながら遊びを作り上げていくことは特別な面白さがあり、またとない経験になりました。みんなで一つのことを成し遂げるのは、青春時代の学園祭のようでした」と満足そうな表情を浮かべた。  別の男性参加者も「仕事の関係では気をつかうので、ここまで純粋に楽しめない。疲労困憊しましたが、終わったあとはすごく達成感がありました」と語る。  会場代やシール作成代などの費用も約50万円ほどかかったが、ツマミさんはツイッターで「ドミノ・ピザ」に連絡を取り、スポンサーを獲得。さらに、クラウドファンディングでも約10万円の資金を集めることに成功した。多くの賛同者を得て、イベントを作り上げていった。 改元ドミノ イベントの様子は読売新聞やNHK、インターネットテレビ「Abema TV」、などでも紹介され、多くの人の目に触れることにもなった。自分たちの作ったイベントが社会的に注目されたことも、参加者たちの達成感を生む理由の一つとなったはずだ。  “モノより思い出”、さらには“モノより仲間”という価値観に共感した人々を巻き込みながら、唯一無二のイベントを達成させたツマミ氏。令和の時代は、こんな価値観やアクティビティーが、ますますメジャーなものになっていくのかもしれない。 <取材・文/西谷格>
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