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日雇い労働者の街「大阪・西成」からシンボルが消えた日

センターの閉鎖は何を意味するのか

 西成の飲食店経営者など、地元の住人たちの目は冷ややかだ。 「日雇い仕事があった何年も昔は活気があった。それが今はほとんどが生活保護受給者でしょう。みんなツケで飲むんや。食い逃げもしょっちゅうやし、隣の人の酒を飲むヤツまでおる。みんな日雇いの人たちはお金がないと思ってるやろうけど、昔は日銭もたんまりもらって、あの人たちは金払いもよかった。そう考えるとね、なんか悲しゅうなってきますよ」  こうした住人の民度を社会不適合者の集まりと十把一絡げにして語るのは簡単だが、彼らにもここを離れられない言い分がある。センター閉鎖を見ていた60代の元日雇い労働者の男性に話を聞いた。 「ワシら、ここから追い出されたら生活できへん。親戚の家に出入りしただけで、近所の人に通報されたんやから。極端な話、ここやったらパンツ一枚でええ。だいいち、西成から俺たちが出ていったとして、どこか歓迎してくれる場所があるんか?」  時代とともに形を変え、弱者の受け皿となってきた西成。今回のセンターの閉鎖は日本の日雇い労働の終焉と変わりゆく西成を象徴しているように見える。 <取材・文/週刊SPA!編集部> ※週刊SPA!5月21日発売号「社会的弱者を救え!」特集より
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週刊SPA!5/28号(5/21発売)

表紙の人/ 永瀬 廉(King & Prince)

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