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覚せい剤を使った自慰行為にハマッてしまった中年男性の末路<薬物裁判556日傍聴記>

 薬物事案の裁判を556日に渡って傍聴し、法廷劇の全文を書き起こした斉藤総一さんの手記。今回の被告は前川保宏。無職の53歳。彼は男性と同居しており、彼の証言によれば、その同居人男性(家主)は、彼が覚せい剤を摂取していることは知らないという。彼は日常のなかでどのように覚せい剤を摂取していたのか。    ***

斉藤総一さん

※プライバシー保護の観点から氏名や住所などはすべて変更しております。

友人が売人の電話番号を教えてくれて…

 例によってまずは起訴状の朗読から見ていきましょう。 検察官「公訴事実。被告人はみだりに平成28年4月14日。中野区南台4-68-27 スカイコート中野313号室、被告人方において、覚せい剤であるフェニルメチルアミノプロパン塩類を含有する白色結晶状粉末3.74gおよび大麻である乾燥植物片0.668gを所持したものである。罪名および罰条、覚せい剤取締法違反第41条の2第1項。大麻取締法違反第24条の2第1項。以上です」  ついで冒頭陳述。お決まりの流れです。 検察官「検察官が証拠による証明しようとする事実を申し上げます。まず被告人の身上関係ですが、被告人は障害年金を受給しながら生活しており、住居地にて暮らしております。犯行状況につきましては、公訴事実で申し上げた通りであります。被告人は大麻と覚せい剤を自宅で所持しておりました。本件は捜索差押許可状にもとづいて、捜索したところ発覚した事案であります。以上の事実を立証するため、証拠等、関係カード記載の各証拠の取り調べを請求します」  家宅捜査したところ部屋から大麻と覚せい剤が出てきた。被告人質問のなかでも、当然のように手を出したきっかけ、入手先について聞かれます。 弁護人「一番最初のきっかけというのは、どういったものだったんですか?」 被告人「きっかけは知人から覚せい剤とは知らずに勧められたのがきっかけです」 弁護人「最初は知らなかったんですね?」 被告人「はい。気持ちがよくなるものだと知らされただけです」 弁護人「あなたは購入先をどのように知ったのですか?」 被告人「知人から電話番号を教えてもらいました」  一体、どんな知人が薬物の売人の電話番号を教えてくるのでしょうか。ともあれこうして彼は薬物に手を出してしまったということです。 弁護人「最初は何を買ったんですか?」 被告人「大麻です」 弁護人「大麻、覚せい剤それぞれ何回購入しましたか?」 被告人「大麻が1回、覚せい剤が3回ほどだったと思います」 弁護人「大麻は最初だけだったんですか?」 被告人「はい」 弁護人「以降は覚せい剤?」 被告人「はい」 弁護人「どれも同じ売人から買ったんですか?」 被告人「はい。そうです」 弁護人「一番の大麻はあなたの意志で購入したんですか?」 被告人「いえ。売人の方から強く買うように勧められました」 弁護人「そのあと覚せい剤を買ったのはいつ頃ですか?」 被告人「それから数ヶ月くらい経ってからだと思います」 弁護人「それもあなたの意志で購入したんですか?」 被告人「いえ。違います」 弁護人「どういうことですか?」 被告人「売人の方から、執拗に何回も繰り返し連絡がありまして、時間に関係なく夜遅くにも電話がかかってきまして、それで買うことになりました」  被告人の言葉を信じるなら、彼の出会った売人はなかなかタチの悪い人物と言えそうです。この後にも「電話がかなり何回もかかってきて、電源を切っても、またその後も電話がかかってきた。買わないと結局のところ電話が鳴り止まない状態」と、被告は説明します。 弁護人「同居人の方はなんていう名前ですか?」 被告人「尾形さんです」 弁護人「同居人の尾形さんは男性のかたですよね?」 被告人「はい」 弁護人「あなたが違法薬物を所持していたことは知っていたんですか?」 被告人「知っていませんでした」 弁護人「あなたいま保釈中ですけども、保釈のお金を用立ててくれたのは誰ですか?」 被告人「尾形さんであります」 弁護人「その尾形さんに対して、どういうお気持ちですか?」 被告人「大変申し訳ない気持ちでいっぱいです」
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覚せい剤で自慰行為
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自然食品の営業マン。妻と子と暮らす、ごく普通の36歳。温泉めぐりの趣味が高じて、アイスランドに行くほど凝り性の一面を持つ。ある日、寝耳に水のガサ入れを受けてから一念発起し、営業を言い訳に全国津々浦々の裁判所に薬物事案の裁判に計556日通いつめ、法廷劇の模様全文を書き残す

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※斉藤さんのnoteでは裁判傍聴記の全文を公開中。 https://note.mu/so1saito/n/n173d8a3bd207
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