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夫婦喧嘩で夫の大麻使用を疑う…妻はなぜ気がついた?<薬物裁判556日傍聴記>

 仕事の取引先の人間が薬物所持で逮捕され、着信履歴から身に覚えのない家宅捜査を受けたという斉藤総一さん。このとき家族の前で言いようのない悔しさを覚えたという斉藤さんは、これを機に一念発起。やがて556日間薬物事案の裁判に通い、裁判の模様の全文を書き起こすに至った。  執念の薬物裁判傍聴記、9人目となる加藤邦夫被告は裁判時60歳。還暦にして大麻所持で逮捕というのは少なくとも日本では珍しい気がするのだが、現実にはどうなのだろう。トラックの運転手でサーフィンをしているとのことで、一般の還暦に比べて体力はあるのかもしれない。  今回の逮捕のきっかけは家族である。逮捕後には多くの場合、家族に多大な不安、負担、迷惑を強いることになる。それこそが最大の罪という気がするが、では家族に薬物所持・使用者がいると知ってしまった場合。その時、家族はどうするべきなのか。そういったことを考えさせられる法廷である。

斉藤総一さん

※プライバシー保護の観点から氏名や住所などはすべて変更しております。

妻とのケンカで大麻使用を疑われる

 今回は即決裁判(判決が当日に出て、執行猶予が決まっている)です。まず検察官による冒頭陳述にある事件のあらましと証拠の概要メモから聞いてみましょう。 検察官「(前略)。被告人の身上経歴等については記載されているとおりでありまして、妻と3人の子供と同居しております。職についてはトラック運転手をしております。前科前歴については薬物についてはございません。事案の概要ですけれども、被告人は大学の在学中に海外で初めて大麻を使い、その後海外旅行中に使用していたほか、国内で使用する事もあったむね供述しております。  入手経路については平成17年と平成23年のころに知人の外国人から入手したものを保管していたということについて述べております。妻からケンカの時などに大麻を使っているのではないかなどと疑われて、一部廃棄した事等もあったと述べておりましたけれども、残存していたものについて、平成29年3月20日、裁判所からの令状を持って警察官が被告人宅を捜索差押したところ、大麻が発見されたというものになります。  大麻は5袋発見されましたけれども、うちすべて大麻でありまして、鑑定の結果、1袋は全量消費のため残存しておらず、もう1袋は残存しているという状況になっております。それが甲号証で請求するブツになります。以上でございます」  この検察の説明を読んで「?」が付くのは、やはり「妻からケンカの時などに大麻を使っているのではないかなどと疑われて」のくだりではないでしょうか。検察も当然、そこを突っ込みます。
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妻はどうして大麻使用に気づいたのか?
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※斉藤さんのnoteでは裁判傍聴記の全文を公開中 https://note.mu/so1saito/n/nb6bde5f57745
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