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「亡き母」と「大麻」への愛を法廷で語った被告<薬物裁判556日傍聴記>

 仕事の取引先の人間が薬物所持で逮捕された煽りで、自身も家宅捜査された経験のある斉藤さんの薬物裁判傍聴記。連載8回目では前回に引き続き、大麻の営利目的所持が疑われる裁判だ。

 12月に始まった裁判が、結審するのは翌年6月。この月日を考えても、タフな裁判だと伺える。

 ここで改めて営利目的の量刑について触れると、「営利目的の所持は、7年以下の懲役または200万円以下の罰金の併刑」と、やはり単純所持(当連載3、4回目参照。どちらも初犯で懲役6か月、執行猶予3年)と比べても格段に重い。つまり、この裁判は被告にとって、この重罪を回避するためのものと言える。

 営利目的の所持でないと証明するためには、380gの大麻を自分が個人で所持した必要性、必然性を証明する必要がある。そのための法廷戦術なのか、被告は証言台で赤裸々に「大麻への愛」を語る。これは罪を軽減するために自身と大麻の親和性を被告がみずから説明するという、なかなか奇妙な裁判である。被告の名前は柏原孝介、40代男性。それでは法廷に目を向けてみよう(斉藤さんは法廷でのやり取りの全文を書き起こしており、本文では見所を抜粋しながら構成している)。

斉藤総一さん

※プライバシー保護の観点から氏名や住所などはすべて変更しております。

 この日は書証(文書についての証拠を調べること。被告人の携帯電話の発信履歴に関わる者の前歴関係なども含む)の整理に始まり、証人尋問、主質問(=被告人への質問)へと展開します。

 まずこの日、最初に行われた宮本さんという柏原被告が勤める宮本興業という解体業者の代表の証言から。なんと今回の事件が発覚した後での雇用とのことです。話を聞きましょう。

弁護人「今回の話を聞いても、柏原さんを雇用しようと思ったのはなぜですか?」
宮本証人「先程も言いましたけども、ウチの社員の新谷という者が、幼い頃から知っていると聞いていることと、こういう事件の本人だけど、新谷のほうから、柏原の面倒は一生見ていくということで、それでまあ、ぜひお願いしますということなので、会社のほうとしても、新谷がそういう風に言っているのであれば、ウチで働いてもらって構わないと言いました。ウチの社員達のほうも、このことを知っていまして、社員のほうも理解しているということで、みんなで頑張ってやろうということで、そういう方向でいきましょうということになりました」
弁護人「ちなみになんですが、被告人以外で前科などがある人っていうのはいらっしゃるんですか?」
宮本証人「いませんね。はい」
弁護人「そうすると今回みたいな事件を起こした人を雇うことに不安はなかったですか?」
宮本証人「まあ、でも、ないって言ったらウソになるかもしれないですけど、本人はキチっとやっていくということなんで、まあ過去は関係なく、これから一生懸命やってくれればいいかなと考えています」
弁護人「はい。新谷さんという名前が出ましたが、新谷さんはいつから宮本興業さんで働いているんですか?」
宮本証人「この宮本興業を立ち上げた時からなんですが、その以前に専務として私が会社を運営していまして、その時から一緒に仕事をしてくれている人間です」
弁護人「すると新谷さんは、あなたがかなり信頼を置いている方だという風にお聞きしてよろしいですか?」
宮本証人「そうですね。はい」
弁護人「3月に入社されたということなので、まだ1か月程度ではあると思うんですが、被告人との付き合いをしてみて、どのように感じていますか?」
宮本証人「そうですね。普段私は現場のほうに出ないんですけども、今回そういう機会があったので、柏原君と一緒に現場をやってですね、私が他の仕事をしていて丸一日仕事をしていてできない場合があるので、その時に、柏原君に今日の仕事はここまでなんで、明日はここまでやるからということで、私が先に現場を離れてですね、柏原君に頼んだということで、次の日の朝また私が行くんですけれども、そういう慣れない仕事でしょうけど、きちんと前の日の仕事は終わらせて、終わった時やわからない時は、必ず私に連絡をちゃんと入れる。と、そういうことはキチンとしていると思います。あとは即戦力とはまだまだいかないんですけれども、現場を任せて1人にしておいても心配はないかなと思っています」
弁護人「そうすると、仮に柏原さんが服役したり、また犯罪を犯して身柄拘束を受けたりして、仕事ができなくなったとなると、あなたの会社にも当然支障が出るということで間違いないですか?」
宮本証人「もちろんです」

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2人目の証人は被告人の親戚であり、現在の同居人でもある柿田という人物

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※斉藤さんのnoteでは裁判傍聴記の全文を公開中。https://note.mu/so1saito/n/n1100381eec9c


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