『あなたの番です』最終回に賛否、テレビ業界人の評価は?
“交換殺人ゲーム”をテーマにしたノンストップミステリー『あなたの番です』(日本テレビ系、日曜夜10時30分~)が8日に最終回を迎え、シリーズ最高となる平均視聴率19.4%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)をマークした。
そんな賛否両論を巻き起こした「あなたの番です」をテレビ業界関係者たちはどう見ていたのか? 彼らに直撃し、本音を聞いてみた。
まずは、テレビドラマを中心に活躍する脚本家2名に話を聞いた。まずは刑事モノなどを手掛けたことのあるA氏だ。
「正直言ってつまらなかったです。回を追うごとに謎が増える一方で、たまに伏線が回収されても『実はワニを飼っていた』や『寝取り癖のある変な女性だった』など笑えないモノばかり。こういった1つの事件を全話にわたって追っていくミステリードラマは2、3話ごとに大きな謎がキレイに回収されてから、次の事件が起きるといった流れにしないとダメですよね。
視聴者の考察や犯人探しの盛り上がりのためだけに最終回までほとんどの謎を引っ張るのは無理があります。真犯人だった西野さんも演技はヘタではなかっただけに、今回の最終回批判で評価を下げているのはかわいそうです」(脚本家A氏)
A氏が語るように、隠されたままで終わった伏線や謎が多かったのは事実だ。ちなみに回収されていない主な伏線は、最終回のラストで殺害寸前だった赤池幸子、江藤祐樹が住民に付けていたGPS、早川教授は実在したのか……をはじめ、小ネタの謎も入れると数えきれないほど存在する。
一方、好意的な意見を述べてくれたのは、アニメを中心に執筆する脚本家のB氏だ。
「2クールという長い期間のドラマで、視聴者を飽きさせないようにうまく伏線をちりばめていたのはなかなかできることではないと思います。風変わりな住民のキャラクターも巧みに描かれていて、ただのミステリーにはない面白さもありました。さすが福原充則さんの脚本だなと思わせる良作だった思います」(脚本家B氏)
ちなみに脚本を担当した福原充則氏は、昨年“演劇界の芥川賞”にあたる岸田國士戯曲賞を受賞した注目劇作家でもある。確かに、ミステリーに収支せずコメディをちりばめていく構成はクドカンドラマを思わせた。
「袴田吉彦演じる久住が『俳優の袴田吉彦を殺してほしい』と言う設定は斬新すぎて福原さんしかできないですよ!」(B氏)
これは今年の民放連ドラではトップの数字でまさに有終の美となった。視聴率はもちろん、6月に「#あなたの番です」がTwitterの世界トレンド1位に躍り出るなど、ネットを中心に話題となった同作。特に、謎が謎を呼ぶ真犯人(黒幕)を考察するYouTubeやツイートが大流行した。
最終回で最高視聴率をマークしたものの……
しかし、大成功に終わった「あなたの番です」最終回に批判の声が殺到しているという。さまざまな伏線が張り巡らされた中で、真犯人が当初から最も疑わしいとされていた西野七瀬演じる黒島沙和だったからだ。 内容的にも、何の伏線もなく「防犯カメラに仕掛けがされていた」というトリック明かしや黒島の殺害動機が「殺人衝動を止められないシリアルキラーだったから」など、釈然としない点が多かったこと、そしてラスト10分にバタバタと詰め込まれた謎に、視聴者たちがスッキリしなかったようだ。
ドラマ脚本家が「あなたの番です」にモノ申す
一方で、「さすが」と好意的な意見も
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テレビドラマとお笑い、野球をこよなく愛するアラサーライター。
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