「戦闘機を操縦中に読書」よりヤバい。日米地位協定の真の問題点
だが、日米地位協定に関しては政治的立場が保守でもリベラルでも、そのどちらでもなかろうとも、次に紹介する2つの条文を知ればおかしさが理解できるだろう。
日米地位協定 第二条(施設及び区域の許与,決定,返還,特殊使用)
1(a) 合衆国は、相互協力及び安全保障条約第六条の規定に基づき、日本国内の施設及び区域の使用を許される。(後略)
これは「全土基地方式」と呼ばれるもので、つまりは「アメリカが求めれば日本国内のどこにでも基地などの提供の求める権利がある」ということだ。これはうがった解釈でもなんでもなく、伊勢崎賢治氏と布施祐介氏の共著『主権なき平和国家』では、外務省の内部向け解説書にその旨が書かれていることが紹介されている。そして、この「権利」は日米安保条約の第6条の以下の条文に基づいている。
日米安全保障条約 第六条
日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。(後略)
実際、2016年には一時、北方領土の2島先行返還の機運が盛り上がったが、交渉過程でロシア高官が返還した場合に米軍基地が置かれる可能性があるのか、と尋ねたところ、谷内正太郎・国家安全保障局長(当時)は「可能性はある」と答えたと報道され、一気に交渉は冷え込んだ。だが、これらの条文があるぎり、そう答えざるを得ないのも事実だ。
これらの状況を踏まえ、小林氏は「日本のアメリカからの脱属国化」を熱く語る。
「わしは、保守派から『反米』と呼ばれるわけですよ。でも、実際は親米でも反米でもないんです。ちゃんと日本が独立主権国家となり、対等な安全保障条約を結び直すことが必要。しかし、日本は現状ではアメリカの『属国』ですよ。これはいい加減に自称保守も、リベラル左翼も、認めなければいけません」
まずは、問題の所在を知ることからすべては始まる。日米地位協定の諸問題に関しては沖縄県庁の「地位協定ポータルサイト」が詳しい。外務省の日米地位協定のHPと比較しながら、「何が問題なのか」をぜひ知っていただきたい。
取材・文/『週刊SPA!』編集部
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