更新日:2023年04月27日 10:39
恋愛・結婚

不妊治療で妻とギクシャク…子供がいないのは不幸か?40歳男性の悩み

“外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報のプロ・佐藤優が、その経験をもとに、読者の悩みに答える!
不妊治療

※写真はイメージです

妻に負担のかかる不妊治療を続けるべきか?

★相談者★不能者(ペンネーム)会社員 男性 40歳  私に原因があって現在、妻と不妊治療中です。しかし、妻の身体的負担は相当なもののようです。セックスレスだったこともあって、治療によって子供を授かることにも抵抗があるようです。妻は「私だけが苦しい思いをするのは耐えられない」と治療の中止を口にするようになっています。  いっそ不妊治療をやめてしまったほうが妻のストレスは解消されると思うのですが、子供をつくるという共通の目標が失われたら、セックスレスなこともあって別なところに亀裂が生じるような気がしています。  おそらく、周囲の夫婦が子供を授かっても、この先、心の底から祝福できないでしょう。治療を続けるべきかどうか、今から夫婦関係をよくするために何をしたらいいか、アドバイスをいただけたら幸いです。 ◆佐藤優の回答  奥さんが不妊治療に抵抗を覚えるのならば、中止することを視野に入れるといいと思います。まず、現在かかっている医師に今後、妊娠する可能性がどれくらいあるか、医学的見地から助言を求めるといいでしょう。さらにデータをもらって、別の病院でセカンドオピニオンを求めるといいでしょう。  自由診療なのでお金がかかりますが、不妊治療を継続することと中止することの決断をする過程では、専門家から複数の意見を得たほうがいいと思います。  いずれにせよ、子を持つということが唯一の価値観ではないということをあなたと奥さんが納得することが、とても重要になります。神学者のカール・バルトがこんなことを言っています。 =====  親にならない人もやはり存在するということである。結婚しないとか、あるいは結婚しても子供がないとか、こういうことは実際ありうるのである。  そういう人はそれを一つの欠陥として感じるし、子供のある人は、子供があるということを感謝すればするほど、子供がない人のことを欠陥として感じるだろう。  親になるということは人間存在の直接の喜びなのであって、何らかの理由でそれが出来ない人は、子供なしにすますという苦しみを担わなければならない。  だが、子供がないということは決して不幸ではない。新約聖書の使信の範囲内では、子供を生むということ、つまり、人間の種族そのものを繁殖させなければならないという必然性はもはや存在しないのである。(『キリスト教倫理Ⅱ』155頁) =====  どうしても子供が欲しいということならば、特別養子縁組について検討してみることをお勧めします。厚生労働省のHPから引用しておきます。 ===== 「特別養子縁組」とは、子どもの福祉の増進を図るために、養子となるお子さんの実親(生みの親)との法的な親子関係を解消し、実の子と同じ親子関係を結ぶ制度です。(中略)養親になることを望むご夫婦の請求に対し、成立の要件を満たす場合に、家庭裁判所の決定を受けることで成立します。 =====
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不妊治療か特別養子縁組か、早く決断したほうがいい
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’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数

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