更新日:2024年05月18日 09:21
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「プロ奢ラレヤー」が猫組長に奢られてみた。小指がない手を見て…

「暴力は、ふるう前が一番効力があって、実際にふるってしまったら無効になってしまう。安全保障問題と同じなんだよ」(猫組長)

今、生きづらい人は自分の能力をアビトラージして最大化すべき

プロ奢 そういう意味では自分もその考え方に近くて、僕は使わないからこそ、お金に価値を感じてないんですよね。 猫組長 お金は必要なとこに必要なだけ使えることが大事だね。たとえば時計なんて時間がわかればええやん。ダイヤモンドついてる必要もないし金である必要もない。一番くだらんのはそういうものにお金を突っ込む使い方。なんにせよ、合理的なものを選ぶんが正しいと思う。生まれはどこ? プロ奢 埼玉ですね。 猫組長 普通に働いたことは? プロ奢 いや、大学半年で辞めてヨーロッパうろちょろして、帰国して今の生活です。19歳頃から、こんな感じなんで就職はしたことないですね、できないと思います、普通に。 『プロ奢ラレヤー』を始めたのは、日本はみんな貴族だから。100万円あげるほどじゃないけど1000円とかなら奢ったり落としたりしても気にならない。みんなちょっとずつ余ってるから、そこを引っ張りだす職業なんて無限に存在してる。ヤクザの世界だってそうですよね。 猫組長 ヤクザの特徴は、特に条文化されていないのに、日本全国ルールが一緒というところだね。 プロ奢 ある種の聖典みたいなものが個々にあるからでしょうね。今の若い人にはそれがない。聖典がないからこそ自己啓発書が売れるし、みんなロジックを持ってないから、ロジックを見せられると聖典っぽく感じてしまう。ヤクザの文化は、暴力があるからヤクザ内のルールが保持されやすいと思うんです。 猫組長 そのとおり。安全保障と一緒でね。暴力って行使する寸前が一番効果的だから。ふるっちゃうと、そこで性能がわかって効力が半減してしまう。ピストル出して「撃ってみろよ」となったとき、そこが暴力の極限の駆け引きなんだよね。  自衛隊だってそう。組織としての力は一応持ってるけど、いろいろな縛りがあって使えない。でも実は戦闘能力が高いわけで、これを9条で失くせだなんて根本的に間違ってるよ。9条を撤廃したとしても、暴力の行使がしやすくなるだけだし、より暴力が有効になるだけ。軍事力なんてなかなか使えないんだから、北朝鮮の核だって、持ってること自体が有効なだけで本気で撃つわけじゃない。  使うことが大事なんじゃない、いつでも使えるよ、という状態が大事なわけ。 プロ奢 なるほどなあ。組はどんぐらいやってたんですか? 猫組長 22年ぐらい。フリーが10年、自分の組を持ってからは10年ぐらいかな。 プロ奢 フリー!(笑)。すげえ、俺の人生ぐらいだ。 猫組長 でも、不動産のあとに証券関係をやってたから、俺はもともと暴力性はないの。当時俺は最先端を走ってたほうで、ロンドン証券取引所のすぐ近くにロンドン支店を出して株と為替で金融取引をやってた。 プロ奢 あえて自分の村から出るっていうのは大事ですね。そういうの僕は好きです。  サラリーマンの人って真面目で朝も毎日起きられて、身だしなみ整えて、満員電車のって、怒られても次の日も会社に行く。僕からしてみると、できないことだらけですごいんですよ。役満というか。  でも、組織ってある特定のみんなが持ってる要素が連携して成り立っているから、組織の当たり前を持っているだけでは闘えない。暴力の世界で暴力を誇示しても仕方ないけど、そこでみんなができない経済、金を動かすことができれば人より一歩先をいける。  人と違う部分、他の人がやってない部分で勝負するっていうのは良いですね。だって「朝決まった時間に起きれる」と言う能力はサラリーマン村ではなんの価値もないかもしれないけど、アビトラージすれば必ず価値を持つ場所があるはず。現に僕の周りには朝起きられなくてゴミ出しすらできない奴だらけなので、そういう人が1人いたらめちゃくちゃ助かります。 猫組長 なるほどね。これからも、たまに奢ったろか。「プロ奢に奢るための資格」とか書いてあるやん。それ、俺めっちゃ当てはまるから(笑)でも、ドタキャンされたりしてな(笑)。 プロ奢 ああいう制限を設けないとDMが多くなっちゃうんですよ、さばききれなくて。 猫組長 派生ビジネスで奢ラレヤーの子分をつくって、「こいつ行かせますよ」って派遣すれば? プロ奢 ヤクザだなー(笑)。 猫組長 株式会社プロ奢ラレヤー、ええやん。面白いで、きっと。 小指に始まり、ヤクザ事情からお金の話まで話題は縦横無尽に広がったが、プロ奢ラレヤーの奔放かつ独特な思考に感心しきりの猫組長であった。 なぜ、人は奢ってまで彼に会いに行くのか?  唯一無二の「奢られ屋」を確立させたエッセンスは、著書「嫌なこと、全部やめても生きられる」でさらに詳しく読むことができる。 【猫組長】 神戸生まれ。元山口組系二次団体幹部。若くして反社会組織に身を投じ、仕手戦やインサイダー取引を経験。グレーゾーンのファィナンスや国際金融を得意とする経済ヤクザとして活躍し、タックスヘイブンにも複数企業を保有している。著書に『猫組長と西原理恵子のネコノミクス宣言!』(扶桑社)、『金融ダークサイド 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界』(講談社)など。 【プロ奢ラレヤー】 ’97年、埼玉県生まれ。高卒。職業は「プロの奢られ屋」。ツイッターのフォロワーは約9万人、奢られ実績は累計2000人以上にも及ぶ。奢られエピソードや日々の気づきを有料noteで販売し、購読者は約1700人。芸能人、YouTuber、大学教授、経営者、元犯罪者、風俗嬢、女子高生など、日々さまざまな経歴の人間から「ぜひ奢らせてください」とダイレクトメッセージが届く。真夏でもニット帽を被り、真冬でもゲタで生活していることから年間50回以上の職務質問を受ける。ツイッターでの愛称は「プロ奢(ぷろおご)」。12月20日、初の著書『嫌なこと、全部やめても生きられる』(扶桑社)を上梓。 取材・文・構成/片岡あけの アンヨナ 撮影/(株)アセティア 協力/ウ・パドゥリーノ
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嫌なこと、全部やめても生きられる

「他人のカネで生きていく」というモットーを掲げ、見ず知らずの人に奢られるという活動を行う「プロ奢ラレヤー」、22歳。実践するのはただ一つ、「嫌なことをしないだけ」。 その生き方は一見、モラルや常識に反しているように見えるが、なぜ人々は奢ってまでも彼に会いにいくのか?

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