デジタル

海外旅行者に「物品の配送」を依頼するサービス…麻薬密輸の危険性も

スマホと輸入関税

 PicUApp社は、来年半ばまでにHAKOBIYAのサービスを台湾、シンガポール、インドネシア、マレーシアに拡大するとしている。  が、仮にそれが実現した場合、問題視されるのは「スマートフォンの配送」であることは間違いない。現時点でもHAKOBIYAを使ったスマホの取引は行われているが、それに対する通関上の問題はクリアしているのだろうか?  たとえばインドネシアでは、スマホの輸入に対して厳しい規制が課されている。この国は工業製品に対して国内部品調達率を定めていて、4Gスマホの場合は30%以上の部品調達率を達成していなければ輸入品扱いになってしまう。関税が課せられる、ということだ。これはインドネシア国内のスマホ製造業に、外国企業からの投資を呼び込むための措置である。  だからこそ、インドネシアでは「闇スマホ」が社会問題になっている。iPhoneやAndroid OSのハイエンド機種の税関無申告が横行し、結果的に脱税状態のスマホが市場に流れている。  つまり、HAKOBIYAのようなオンラインサービスは各国の関税や付加価値税(日本の消費税に相当)を無視しているのではないかという指摘があるのだ。

麻薬密輸の危険性

荷物検査 もうひとつ、HAKOBIYAは使い方によっては麻薬の密輸を可能にしてしまうのではという声もある。海外旅行に赴く人が他人からの荷物を預かってはいけない一番の理由は、麻薬だ。知らないうちに自分が麻薬を運んでしまったというのはよくある話で、実際に渡航先の国で逮捕された日本人も存在する。  2014年にインドネシアで逮捕された日本人の男は、荷物の中に2kg以上の覚醒剤を忍ばせていた。しかしこれは他人に持たされたものだと、男は主張。裁判では無罪を求めた。  この裁判の判決は、終身刑である。検察求刑の禁固16年を、裁判所がより重刑になるよう覆した形でもあった。インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は、麻薬の密輸に対して容赦ない姿勢を見せている。「麻薬密輸の実行者に対して、私が恩赦という形で司法に介入することはない」と明言したほど。ちなみに、麻薬密輸の最高刑は銃殺刑である。  そのような可能性があるから、日本の外務省や税関当局、海外に支社を持つ企業は異口同音に「他人から荷物を預かるな!」と何度でも口にする。これらの懸念に対するPicUApp社の見解が、今後待ち望まれる。<文/澤田真一>
ノンフィクション作家、Webライター。1984年10月11日生。東南アジア経済情報、最新テクノロジー、ガジェット関連記事を各メディアで執筆。ブログ『たまには澤田もエンターテイナー
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