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この世に不要なものなどない。陳腐なAVの脚本でさえも尊い――patoの「おっさんは二度死ぬ」<第77話>

なぜか3P不要論にまで話が発展

「じゃあさ、こういうお題はどうかな?」 僕が提案する。 「エロビデオに3Pは必要か否か」  一本のエロビデオには王道的な流れがある。  最初に清楚系の衣装に身を包んだ女優がインタビューなりなんなりをしてそのままの流れで1回絡む明るい白っぽい部屋だ。そして場面が変わり、今度は間接照明的な部屋で、女優もセクシーな衣装を着ている。そこで絡む。そしてなぜか最後は総仕上げとばかりに3Pを入れてくる。絶対に3Pを入れてくる。もう一回言う、絶対に3Pをいれてくる。 「必要ない」  山藤は即答した。 「俺も必要ないと思うな」  南山も即答した。 「僕も必要ないと思います、不愉快ですらあります」  深田青年も即答した。おまえ優柔不断じゃなかったのかよ。なんでエロビデオの3Pにだけ確固たる信念を見せてるんだよ。 「うほっ、3Pだ! って喜ぶ人がどれだけいると思います? むしろ、そんな単純なユーザーばかりと舐められてるってことでしょ。怒りすら感じますよ」  深田青年は饒舌だ。本当に犬も猫もかわいいって言っていたあの青年か。その勢いで彼女も言い負かせばいいのに。 「とにかくエロビデオに3Pは不必要ってことだな」  山藤は「不必要なんてものはこの世にはない。みんな意味と役割がある」と言ったその口でそう言った。そう言った。 「あとあれだ、エロ動画サイトの再生ボタンを押そうとするとスーッと出てくる広告、あれも不必要」  山藤は付け加えるように言った。「不必要なんてものはこの世にはない。みんな意味と役割がある」と言ったその口でそう言った。そう言った。 「なんであんなに毎回3Pで締めるんだろうな。実際には3Pなんてほとんどしないのに」  南山も続いた。 「とにかく法律か条例で取り締まるべきですよ。エロビデオを3Pで締めてはいけないって」  深田青年は止まらない。もう3P規制過激派だ。  そうなると、確かに僕も「あー、また3Pかー」とけっこうがっかりする派閥だけど、全員反対ではディベートにならない。仕方なく3P擁護派に回ることにした。 「でもさ、エロビデオってファンタジーなわけでしょ、その全てがファンタジーなわけですよ。その最後にあまりやらない3Pで締めることにより「これはファンタジーだぞ」って分からせる必要ってあるんじゃない? ただでさえ現実と虚構の区別がつかない人増えてるし」  僕の擁護も苦しい。 「そんなもん3Pなくてもわかるだろ」 「3Pである必要はない」 「もっとまじめに考えてくれませんか? それが3Pが必要な理由ですか? 正気ですか?」  いつの間にか深田青年にまで叩かれている僕がいた。
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最後まで3Pを憎み切った深田君は……
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