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今さらYouTuberになっても稼げるのか? 月収10万円以上の人数は…

大人の視聴に堪えうる価値あるコンテンツが増加

 では、実際にどんな動画が見られ、そしてどのYouTuberが稼いでいるのか。霜降り明星の「しもふりチューブ」などを担当する放送作家の白武ときお氏に今のトレンドを教わる。 「やはり有名人の参入が目立っています。本田圭佑選手がYouTubeで移籍を発表したように、好きなタイミングで自由に発信できる便利さに惹かれるのでは」
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白武ときお氏

 一方、カリスマブラザーズやパオパオチャンネルら人気の「YouTuber第2世代」が相次いで解散や活動休止を発表。白武氏は「YouTubeが大人のものになりつつある」と分析する。 「数年前まではYouTuberそのものが目新しい存在でしたが、参入者が増え、視聴者も“○○やってみた”のような楽しい動画に加え、ためになる動画を求めているように思います。有名人が参入してきた今、専門性のない総合YouTuberの新規参入は厳しい。YouTube側も広告収益の評価軸として視聴数だけでなく総再生時間や視聴者維持率も重視しだしたので、広告が複数つけられる長時間化や、離脱を防ぐテロップの多用が目立ちます」  そんなプロをも唸らせる注目すべきチャンネルは? 「6人組YouTuberの『だいにぐるーぷ』さんはアイデアも編集もクオリティが高く、テレビのような丁寧な作りです。青山テルマさんやkemioさんが出演する旅チャンネル『勝手に世界遺産委員会』も、プロの映像チームが制作しているため作品性が高い」  話を聞くと、技術的にはなかなかハードルが高そうだが……。 「高い制作技術がなくても再生されているチャンネルはあります。魚を捌く動画の『きまぐれクック』さんや釣り動画の『釣りよかでしょう。』さんのように、趣味系の企画。身近なところだと、やはりグルメ系は強くて、つい料理より胸に目がいく『くまクッキング』さんも再生数を伸ばしました」  ほかにも、資金力のある企業が目をつけているジャンルがある。 「“マンガ動画”ですね。『フェルミ研究所』さんが代表格ですが、『ヒューマンバグ大学』さんや『エモル図書館』さんなど、チャンネルが激増しています。1本作るのに20万円ほどかかるうえ、収益化まで時間がかかり真似はしにくい。同様にドラマやマンガの伏線などの考察動画も増えました」
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数字はチャンネル登録者数。芸能人のオフが投稿されるYouTubeは“好感度爆上げ媒体”として機能する。「今年は辻ちゃんにならってママタレ、モデルの進出が進むかも」と白武氏

 そんな白武氏が今後伸びると予想するのが、ラーニング系動画。 「昨年の4月に開設された『中田敦彦のYouTube大学』さんの登録者数はすでに100万人。政治やテクノロジーなどのトレンドも押さえつつ、歴史ネタのような腐らないネタも丁寧に解説しているので時間がたってからも見られる。ダルビッシュ有選手や里崎智也元選手のYouTubeが人気なのも、一流の野球選手が野球をテーマにしているからで、その道に通ずる人が教えてくれる動画へのニーズは大きいです」  ニーズはあれど、そのぶんチャンネルも増えている今、すでに市場は飽和状態なのでは? 「アイデア次第でまだまだ稼げますよ。例えば中年男性でいうと、『プロ霊能力者チャンネル』さん。見るだけで運気が上昇するという動画なのですが、月に40万~50万円の収益はあるでしょう」(岡野氏)  YouTuberになるうえで、注意したいこともあると岡野氏。 「“歌ってみた”動画などは法律的に詰めていけば著作権侵害になります。あとは、自らYouTuberをやって感じたのが、承認欲求でどんどん過激になっていくこと。そのせいで本業を懲戒解雇される事態になったら笑えません」  コンプライアンス意識を高く持ちつつ、いざチャンネル開設だ。
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