更新日:2023年05月24日 14:30
スポーツ

中止か無観客開催か…春の選抜高校野球、7大事件簿を振り返る

⑤出場校の発表日に起きたニセ電話事件

公衆電話 それは’93年の第65回選抜大会の出場校を決める選考会が行われた2月1日のことだった。関東・東京地区から推薦された計25校のうち6校に「高野連のサトウ」を名乗る人物から選抜大会への出場が決まったという電話が。だが、これは真っ赤なニセ電話で、この6校中、3校は実際には落選。補欠校止まりだったのである。  被害にあったのは関東学園大付(群馬)と法政二(神奈川)、そして早稲田実(東京)で、出場決定から一転して落選という衝撃に打ちのめされたワケだが、実はこの3校いずれも当落線上にあったチームばかりだった。特に関東地区は前年秋の地区大会で市立船橋(千葉)が準決勝で0-10のコールド負けを喫していたことから、関東の出場枠5に対し、4&5校目にベスト8敗退組の4校が浮上。選考が難航することが予想されていたのである。それを踏まえた上での悪質なイタズラであったが、いまだに何者の仕業かは分かっていない。

⑥謎の大会0日目

 一瞬聞いただけでは意味不明の“大会第0日目”。それは’05年第77回大会でのことだった。3月23日に開幕という日程だったのだが、なんと当日は折からの雨の影響で開会式しか実施されなかった。このため大会第0日目という扱いになり、第1回戦第1試合が行われた翌24日が大会第1目となったのだ。  余談だが、この大会で春夏通じて初優勝を飾った愛工大名電(愛知)で女子マネージャーを務めていた倉野智加さんは記録員としてベンチ入りしており、これによって彼女は春夏通じて甲子園史上初の優勝チームの女子記録員となったのだった。

⑦史上初の2試合連続引き分け再試合が誕生

 2試合連続延長15回引き分け再試合という珍事が起きたのは’17年第89回大会。3月26日に行われた2回戦の第2試合と第3試合であった。前者は福岡大大濠対滋賀学園の一戦で、緊迫した投手戦が展開され、1-1で引き分けに。後者は福井工大福井対健大高崎(群馬)という顔合わせで、こちらは一転、激しい点の取り合いのすえ7-7で決着つかずとなった。もちろんこの記録は春はもちろん夏の甲子園を含めても史上初の出来事。そして、2試合続けて延長15回引き分け再試合という結果になったことを受け、高野連は現在行われているタイブレーク制の導入へと舵を切るこことなるのである。  ――この7つ以外では触れるとしたら、やはり2度訪れた開催危機だろう。’95年の第67回大会と’11年の第83回大会である。前者は阪神淡路大震災、そして後者は東日本大震災と、ともに震災の影響を考慮。鳴りものなどの応援を自粛するなど被災地に最大限配慮して開催にこぎつけた経緯がある。だが、今大会の問題は上記2例とはまったく別のケース。果たして高野連はどのような結論を出すこととなるのだろうか。<文/上杉純也>
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