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「東京ロックダウンは不可能だ」元東京都知事・作家の猪瀬直樹氏が喝破

東京都の職員をテレワークに

――では、現在の法的枠組みのなかで、どんな方策を取り得るのか。 猪瀬:まず、東京都の職員をテレワークにする。東日本大震災のときはフレックス出勤にしたが、都の職員の多くは神奈川・埼玉・千葉の3県から出勤しており、彼らの移動を制限するのです。警察、消防、教員を除く約4万人の都職員がテレワークにシフトすれば、メディアで大々的に報道され、都知事の発信力強化に繋がる。  専門家会議に一切諮らず、不透明なプロセスで国家の意思決定を独断したのは大いに問題だが、安倍首相の全国一斉休校の要請には99%の学校が応じた。つまり、強制力を伴わない要請に実効性を持たせるには、知事がリーダーシップを発揮し、どうメッセージを発信するかに懸かってくる。うまくやれば都職員のテレワーク導入に応じるかたちで、出勤停止の要請を受け入れる企業が増える可能性がある。 ――ロックダウンした海外の都市では、外出禁止措置が取られるのと同時に、政府が休業補償を打ち出した。 猪瀬:パリでは外出許可証なしに出歩くと135ユーロ(約1万6200円)の罰金が科され、イギリスやスペインなども、正当な理由のない外出に罰金制度を導入しているが、現行法の下では都が外出を禁じることはできない。  テレワークを多くの企業が導入すれば、人の移動を激減させることもできるが、自宅では仕事ができない職種やフリーランスに給与の補償をしなければ、出勤する人が後を絶たないでしょうね。  フランスは給与所得者には給与の8割、フリーランスを含む事業者には一律月額1500ユーロ(約18万円)を国家負担で支給することを決めたが、日本のフリーランスへの補償は日額4100円にとどまる……。これでは、人の移動を止められない。  28日夜、安倍晋三首相は首相官邸で行った会見で「(感染拡大が続くも)現状は緊急事態宣言との関係でギリギリ持ちこたえている状況だ。瀬戸際の状況が続いている」と話し、現時点で緊急事態宣言を発令する状況ではないとの認識を示した。小池知事が訴える「感染爆発の重大局面」のただなかにある首都・東京。今後も長く険しいイバラの道が続くのは間違いない。

「感染爆発の重大局面」 4月12日まで自粛要請

 厚労省クラスター対策班は「4月8日までの3週間で、感染者数が530人、うち重篤者数が41人増える可能性がある」との試算を出している。小池都知事は25日の会見で、感染拡大が続く現状を「感染爆発の重大局面」と訴え、4月12日まで大規模イベントの延期や中止、週末の不要不急の外出自粛、平日のテレワークの徹底などを要請した。 <取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/山崎 元(本誌) 写真/EPA=時事> ※週刊SPA!3月31日発売号より
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週刊SPA!4/7号(3/31発売)

表紙の人/ 日向坂46

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