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小泉今日子ら芸能人の“政権批判”が、どこか空虚な理由

日頃から、誰を批判して誰を支持するのか、はっきり表明する

 たとえば、アメリカのセレブ(俳優、ミュージシャン、モデル etc.)ならば、政治的な発言をする際には、自らの立ち位置を明確にする。トランプ大統領を批判する際には、(対立候補になりうる)ジョー・バイデンやバーニー・サンダーズ、もしくはマイケル・ブルームバーグらの名前を必ず持ち出す。実際に集会への参加や献金を呼び掛けるなど、具体的な行動もともなう。いずれにせよ、権力の移譲が可能な、現実的な政治家の名前がなければ、説得力を持たせられないのだ。
 セレブの発言が100パーセント正しいなどと言うつもりはない。だが、権力を批判したのちには、逆に自らも権力サイドになり得ると認識している点は、日本の芸能界とは大きく異なる。  そこで、安倍政権のメッキも剥がれてきたせっかくの機会なので、小泉氏は、汚くない内閣とはどのような構成で、それを実現してくれそうな政党や政治家を考えてみたらどうだろうか。残念ながら、山本議員や志位委員長が内閣の主要ポジションを占める未来は描きにくいし、ましてやクオモ知事は、よその国の政治家だ。  そのうえで、立憲民主党なり国民民主党なりの選挙応援で歌ってくれれば、政治的発言をする芸能人を見る目も、変わってくるのかもしれない。 <文/石黒隆之>
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4
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