競馬のG1・NHKマイルで家賃を払えるか? 穴馬に命運を託した結果…
とはいえ1万円はパチンコ屋に行くには心許ない金額だった。別に3万円あれば勝てるわけでもないのだが、1万円を持ってパチンコ屋に行く不安は、5,000円持って同窓会に行く不安に近い。払えるだろうが、なんとなく不安になる。もし足りなかったら久しぶりに会った同級生に金の話をしなければならないだろうし、そんな興が醒めることを大人の飲み会でするわけにはいかない。
今回は馬券を買うことにした。1万円を全部使い、当たれば家賃が出る組み合わせで馬券を選ぼう。
競馬の恐ろしいところは賭け金が青天井、つまり1回のレースに100万でも200万でも賭けることができる点にある。これはカジノと同じだ。さらにレースギャンブルなのでゲームが終わりに近づくにつれて汗が吹く。
例えばパチンコなら投資した金額が戻ってきた時点で安心感に包まれ、その後はずっとニヤニヤしながらウイニングランを楽しめるのだが、競馬は最後の瞬間まで結果がわからないからずっと腰が浮く。もちろん最後の直線で逆転する気持ち良さは他のギャンブルの比にならないが、その逆もあり、あまりに瞬間的なショックを食らうので物を壊したり雄叫びを上げたりしそうになる。
僕は大人なのでSNSに馬の悪口を書いて酒を飲むことで悪意の刀を鞘に納めているが、耐えられない同志が発狂する姿を見ても迷惑だとは思わない。その気持ちは痛いほどわかる。むしろ刹那的な絶望に身を斬られた断末魔を聞くとこちらの身が締まる。次は自分かもしれない。天国と地獄は上と下で分かれているのではない。
競馬のレースは3分も掛からないので、あまり大金を賭けてしまうと負けた現実に感情が追いつかなくなる。競馬場でなぜかニヤニヤしてる人たちは皆顔が間に合ってない人たちだ。心の中では泣いている。
買い方は様々あるが、基本的には10数頭走るうちの上位3頭を予想するゲームだ。1位の馬のみを予想する買い方が単勝、選んだ馬が3着以内に入ることを予想するのが複勝、選んだ2頭の馬が両方とも3着以内に入ることを予想するのがワイド、と買い方の名前は様々だが、基本的には上3頭のみが結果に反映される。ビリになった馬を当てても金は増えない。
競馬場には芝と土(ダート)があり、さらに馬の血統、騎手、過去の成績が事細かに公開されている。そしてレースの前にはパドックと呼ばれる顔見せがあり、直前になって馬の様子を伺うこともできる。僕はパドックのセンスが絶望的に無く、
「4番は前の馬が放り出した糞を気にせず踏み抜いたから気持ちが強い」
「10番は目があった時に顔を逸らさなかった」
などの独自解釈を元に買って何度も負けていたので、今回は完全にネットの予想を組み合わせることにした。競馬好きはデータやパドックを元にして予想することに至上の喜びを感じるらしいが、誰が育てていて、調教中の短距離走での記録、結果を出したレースの長さまで調べていたら人生が終わってしまう。餅は餅屋、馬券は馬好き。
博打としての競馬が好きなだけの僕は、今まさにゲートに入らんとする馬の「これまで」に興味はない。勝負をするのか、手堅く勝ちに行くのか、見ず知らずの人が考えた予想に乗る。よく調べないで馬券を買う僕らは、馬ではなく人を買うのだ。人を買っているから別に本気でないわけではない。今回の馬券に人生を賭けているような人を選んでも良い。賭場における熱量は運命を変える力になる。悪い方向にも良い方向にも。
フィリピンのカジノで1万円が700万円になった経験からカジノにドはまり。その後仕事を辞めて、全財産をかけてカジノに乗り込んだが、そこで大負け。全財産を失い借金まみれに。その後は職を転々としつつ、総額500万円にもなる借金を返す日々。Twitter、noteでカジノですべてを失った経験や、日々のギャンブル遊びについて情報を発信している。
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