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東京ディズニーリゾート、休園4か月目でも株価はV字回復…なぜ?

 年間売上5256億、日本最大のテーマパークである東京ディズニーリゾートは、2月末から休園が続いています。にもかかわらず、一つ驚きの事実があります。

“来場者0人”でも株価V字回復の謎

 東京ディズニーリゾートを運営する、株式会社オリエンタルランドの株価は、今年3月から5月にかけてV字回復しているのです。  3月13日の1万1250円を安値として、5月26日には1万6000円まで回復し、なんと昨年10月の高値1万6900円に迫る勢いなのです。この間、ディズニーリゾートへの来場者は0人。再開時期が未定であるにも関わらず、なぜここまで同社に対する投資家の期待度は高いのでしょうか?  オリエンタルランドの強みとは何か、私馬渕磨理子がディズニーリゾートへの見方が変わる、「A Whole New World」へ5分間でご案内しましょう。キーワードは、“サービスエリア”です。

1年間売上0円でも、お金が余る衝撃

 オリエンタルランドの「対コロナ持久力」を見定めるうえで重要なのが、短期的な債務の支払い能力です。コロナ禍において、少なくない企業が家賃や人件費など、毎月の固定費を払えずに苦しんでいます。そんな状況下でも、オリエンタルランドはお金を払う余裕がかなりある企業なのです。  企業が、1年以内に現金化できる流動資産がどの程度確保されているかを示す指標として、流動比率(流動資産/流動負債×100)というものがあります。同社の流動比率は、2019年3月末時点で285%あり、一般的に理想とされる200%を大きく上回っています。  つまり、同社はかなりの支払い能力を持っているのです。特に、オリエンタルランドの財務で注目すべき点は、キャッシュの分厚さです。  2019年3月末時点の現金及び預金残高は3775億円。  コロナの影響前の費用を見てみると、売上原価と販売費および一般管理費の合計から、減価償却費を除いた金額は約3580億円となっています。つまり、オリエンタルランドは、一年間に出ていくお金が約3580億円に対して、現金及び預金として3670億円を持っています。つまり1年間売り上げが0円でもお金がなくならないのです!  この財務状況からおわかりのように、ディズニーリゾートはコロナ禍で長期の休園を行っても十分に耐えることができると投資家から判断され、評価が高いのです。

その実態は“サービスエリア”と同じ

 では、同社はなぜそこまで現金を多く持っているのでしょうか。そこで売上高の割合を見てみましょう。  一般的に、テーマパーク業界は多額の初期投資や維持費がかかるという特徴があります。  観覧車を回す電気代、各アトラクションにつくスタッフ、清掃員、ショーダンサー…携わるスタッフの数が多いことは想像に難くないでしょう。しかしディズニーリゾートの実態は、まったく違うのです。  オリエンタルランドのテーマパーク事業の売上高の割合を見ると、チケット代が約46%なのに対し、商品販売が35%、飲食販売が17%と、非チケット収入の割合が全体の52%を占めているのです。  つまり、ディズニーランドはチケット代よりも、グッズの購入やお土産品、さらには園内でのレストランの飲食で使うお金のほうが多いのです。現在のディズニーランドの入場料は大人8,200円。非チケットの売上が入場料以上にあるということは、1人あたりお土産や飲食代で1万円近くを使っているという計算です。  ここまで見ると、ディズニーランドの売上の実態は、高速道路内にある「サービスエリア」というとわかりやすいかもしれません。  高速道路には通行料金がかかりますが、その料金よりも、サービスエリアで買うホットドッグやお土産のほうがドライバーがお金を落としている額が大きいという意味です。  たとえば、東京湾アクアラインの通行料金は800円。これに対し、海ほたるで回転寿司のランチを食べ、地元産の野菜やお土産を買えば、2000円ほど使うでしょう。  ディズニーランドは、そういう売上構成なのです。  そしてコロナ禍の現在、同社はダメージをかなり軽減できています。というのも、グッズの仕入や食材費の仕入を止めれば、出ていく経費を抑えられるからです。
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コロナ禍でも稼ぐ“舞浜の主”
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