仕事

コロナ解雇の外資系航空会社の社員「ネットニュースで経営破綻を知った」

 新型コロナウイルスの影響による解雇や雇い止めに齒止めがかからない。厚労省は6月5日、コロナ関連での解雇が2万人を超えたことを発表。今、労働市場では何が起きているのか? 解雇にあった当事者の声、そして専門家の分析とともに、コロナ解雇の最前線を追った。
コロナ解雇の衝撃

砂山祐介さん(仮名・44歳)

海外赴任先で破綻宣告。日本に帰るに帰れない地獄の日々

▼砂山祐介さん(仮名・44歳)職種:航空会社/役職:課長級/失職理由:経営破綻/年収660万円 商社勤務を経て、英語スキルを生かし外資の航空会社へと15年前に転職。以来、海外駐在を続け、現地の女性と結婚し2児を育てる 「これ、ウチの会社じゃないか……」  15年勤めた会社の経営破綻を知ったのはネットニュースだった。見渡せば社内には衝撃の事実に頭を抱えてうなだれる社員ばかり。 「15年勤め、会社にも貢献してきたつもりだったのに……経営破綻を社員に一切知らせないなんて裏切られた」と憤るのは、外資系航空会社で日本発着便の管理・乗り入れ交渉を担当していた砂山祐介さん。海外駐在10年目のことだった。 「3月以降、コロナの影響で世界各地の航空会社が倒産しているのは知ってましたが、その多くはLCCや規模の小さなエアライン。その点、私が勤めていた会社はそれなりに名の知られた会社ですし、いざとなったら現地政府の支援で絶対に潰さないだろうと楽観視していた。今さらながら10年前に破綻したときのJALの社員の気持ちがわかった気がします」
コロナ解雇の衝撃

現地での求人情報は転職サイトを日々チェック。しかし、3月以降は新規の求人がほぼ更新されていないという

 経営破綻後、6月いっぱいでの解雇が決まった砂山さんだが、すぐさま日本に帰国するという選択肢を取れない事情もある。 「妻とは現地で結婚し、子供もこっちの国で暮らすことを前提に育てていました。正直、コロナによって人生設計めちゃくちゃですよ。私自身、日本を離れて10年がたち、帰国してもこんな状況では自分のキャリアを生かした航空業界の職に就くのはかなり難しい。  とはいえ、現地でも倒産やリストラが次々と起きていて、外国人の私が転職するのが容易ではないのも事実。現地に残るべきか、家族を連れて日本に帰るべきか……どちらも地獄だと薄々感づいています」
コロナ解雇の衝撃

コロナの影響で欠航が相次ぎ、ほとんど人がいない空港ターミナル。資金力のない航空会社から次々と倒産している


コロナ倒産はすでに237社。年度末にかけ爆増の恐れも

 企業の経営破綻は世界各国で起きているが、日本企業も例外ではない。帝国データバンクによると、コロナ関連で倒産した日本企業は6月10日時点で237社。アパレル大手のレナウンが上場企業として初のコロナ破綻したことが記憶に新しい。
コロナ解雇の衝撃

コロナによる倒産件数の推移(帝国データバンク調べ)。6/10時点で237件の倒産が確認され、東京都が56件で最多。次いで大阪府23件、北海道18件、兵庫県14件と続く

 全国コミュニティ・ユニオン連合会の会長を務める鈴木剛氏は「正社員の解雇同様、今は融資などで持ちこたえている企業も年末、年度末の決算期にいよいよ資金繰りが悪化して倒産する企業が続出する」と断言する。  砂山さんは解雇となった時点で10か月分相当の給料が解雇手当として支給される。だが、その後の生活の見通しは今なおまったく立っていない。  ただでさえコロナで国境をまたぐ移動の制限があるなか、自分だけでなく家族の人生設計をも抜本的に見直さざるを得ない決断を、砂山さんはいまだに下せずにいる。 【労働運動家・鈴木 剛氏】 全国コミュニティ・ユニオン連合会会長。労働組合が再建した企業等の役員を務めている。著書に『中高年正社員が危ない』(小学館101新書)など <取材・文/週刊SPA!編集部> ※週刊SPA!6月23日発売号の特集「コロナ解雇の衝撃」より
週刊SPA!6/30号(6/23発売)

表紙の人/ 飯豊まりえ

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