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「正社員で事足りる」コロナ禍で派遣切りになった30代、バイト先もない実態

 新型コロナウイルスの影響による解雇や雇い止めに齒止めがかからない。厚労省は6月5日、コロナ関連での解雇が2万人を超えたことを発表。今、労働市場では何が起きているのか? 解雇にあった当事者の声、そして専門家の分析とともに、コロナ解雇の最前線を追った。

失職者殺到でバイト先もない。統計以上の数が派遣切り

 いつの時代も、景気や企業の業績悪化の影響を真っ先に受けるのが非正規雇用の労働者たち。今回のコロナ禍も例外ではない。 コロナ解雇の衝撃▼中島 明さん(仮名・38歳)職種:空港地上職員/役職:補助/失職理由:派遣切り/年収:320万円 20代中盤まで俳優としての夢を追い劇団での活動に邁進。これまで4つの派遣先を転々とし、空港での勤務は今年で3年目だった

「正社員で事足りる」減便に次ぐ減便で、空港勤務を派遣切り

「『飛行機の本数も減って、正社員だけで事足りるから今回は申し訳ないけど……』。そんな上司のひと言でハイ、サヨナラ。派遣切りに遭い、3月から無収入です」  関西の空港にて地上職員の補助役として働いていたのは中島明さん(仮名・38歳)。通常どおりシフトに入れていた1月の手取りは19万円。その後、飛行機の減便によりシフトは削られ続け、2月の手取りはわずか5万円にまで減額。そして、一度は3月のシフトが出たものの、2月末にシフトの撤回、派遣切りを通告された。 「わずかな貯金で食いつないでいましたが、もう7月の家賃を払う余裕もない。派遣はおろか、職を失った人が殺到しているのかバイトの採用にも受からない。奨学金の返済もまだ残っているのでなんとか働き口を探したいのですが……今は唯一の趣味だったTVゲームのソフトを売って、その日の食費に充てています」  総務省が発表した4月の労働力調査では、非正規雇用の労働者数が3月比で131万人も減少。前年同月比と比較しても97万人減少している。
コロナ解雇の衝撃

総務省発表の今年4月の労働力調査によると、非正規雇用者数は3月と比べ131万人減少。派遣切りによる失業者増が推測される

 4月以降、労働運動家・鈴木剛氏のユニオンにも派遣切り・雇い止めに関する相談が殺到している。 「“年越し派遣村”ができた’08年のリーマン時よりも格段に多い。しかも、リーマン時は自動車を筆頭とした製造業、金融系が主だった対象でしたが、今回はコロナによって人々の経済活動自体がストップしたため、小売りに飲食、観光、宿泊、旅客と対人サービス業全般から多岐にわたって相談が寄せられています。  これだけあらゆる業種で派遣切りが行われているため、再雇用も当然難しい。厚労省の統計では解雇・派遣切りにあった人の数が2万人を超えたと発表されていますが、把握できていない派遣切りの数は何倍にも上るのでは」
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美容師も客足75%減で大打撃
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年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-

この問題を「自己責任論」で片づけてもいいのか――!?
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