「僕が帰宅しようとマンションを出た時、怖いお兄さんの一人が頭から血を流して土下座して謝っているんです」 　怒鳴り声などは聞こえなかったため気づかなかったというが、どうやらケンカが起きていたようだ。 「色々調べてみると、どうやら家の近くにヤクザの事務所があるようでした。騒いでいるのがそこの人たちかどうか定かでないですが、まさかそんな環境なんて夢にも思いませんでしたね。もう少し慎重に家探しをするべきだったと、後悔しています」 　治安に不安を覚えた昭雄さんは、母との同居を視野に入れることにした。だが、そこでまたひと悶着起きてしまう。同居というワードを出しただけで彼の奥さんが激怒したのだ。 「『同居なんて“絶対に無理！”』と、イライラした様子で言い放たれました。いくら説得しても首を縦には振ってくれません…」 　今までこれといった嫁姑問題はなかったそうだが、高齢の義母との同居は何かと苦労が絶えないもの。奥さん気持ちもよくわかる。 「同居という選択はなさそうです。母を守るためにはどうしたらいいのか」 　現在は、見守りを兼ねた宿泊を定期的に行っていると話す昭雄さん。怖い人たちの集まりはなくならず、今でも続いているそうだ。 「まさかこんなトラブルに巻き込まれるとは思っていませんでした」 　マンションの管理人には、今回の件は伝達済みとのこと。しかし、事を荒立てては逆恨みされるリスクもあり、不安は尽きないという。 　今後、この状況は改善されていくのか。彼らが安心して暮らせる日が来ることを願っている。＜取材・文／吉田みく＞