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安倍首相が憲法改正にこだわる理由とは?

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第205回
政治家

※写真はイメージです

 憲法改正は安倍首相の宿願です。第一次安倍内閣が発足した2006年、彼は自民党総裁選で憲法改正について言及しました。つい先日も、自民党の政治資金パーティーに寄せた動画メッセージで、「自民党総裁の任期中に憲法改正を成し遂げていきたい。その決意に変わりはない」と伝えています。  安倍首相はなぜ14年以上も憲法改正にこだわり続けていられるのか。やる気を引き出すのは常に「人物の影響」です。「あの時、あの人が、ああ言ったから」あるいは「あの時、あの人が、ああしたから」ということがあると、「だから自分はこうしよう」と考えて行動できるようになります。  安倍首相に影響を与えたのは、彼の祖父である岸信介です。岸信介は戦後の政治家で、1960年に日米安全保障条約を改定しました。この時、彼は安保条約改定だけでなく、憲法も改正しようとしていました。「現行の憲法は占領軍の最高司令官に押しつけられたものである」というのがその理由です。しかし、この望みは叶わず、新安保条約の批准書が交換された日に辞意を表明し、その翌月に岸内閣は退陣しています。  憲法改正に臨む安倍首相の心情は「お手本」です。政治家だった祖父が叶えられなかった憲法改正を、政治家になった孫が叶えようとする。このように自分が影響を受けた人物と同じ行動を取ろうとすることで、やる気は引き出されます。この仕組みは一般人であろうと有名人であろうと変わりません。  岸信介は後援会誌「風声」で次のように記しています。「現行の憲法が占領下に於て時の占領軍の最高司令官から押しつけられたものであり、原文が英語で書かれた翻訳憲法であることは今日では公知の事実である。斯くの如き憲法を持って居る独立国は古今東西にその例を見ざるところである。民族的自信と独立の気魄を取り戻す為めには吾々の手に依つて作られた憲法を持たねばならぬ」。  これに対して、官房長官時代の安倍首相は「私は、国会議員になった当初から改憲論者だが、3つの点で憲法を改正すべきだと主張してきた。第一の理由だが、現行憲法は占領軍の手によって、憲法の専門家ではない人たちによって2週間そこそこで書き上げられた、と言われており、やはり国の基本法である限り、制定過程にもこだわらざるを得ない」と対談で話しています。このように単に行動だけでなく、その理由まで同じものになっているのです。  安倍首相と岸信介の関係は家族です。家族は一緒に過ごす時間が長いため、赤の他人よりも強く影響を受けます。仕事に関する影響は父親や祖父から受けるのが一般的ですが、家業を継いでいる場合はその影響がより顕著になります。政治家を「家業」と呼ぶのは語弊がありますが、世襲議員が「モチベーション」という無形のノウハウを受け継いでいるのは間違いありません。  また、岸信介が歴史の教科書に名前が載るような大人物であることも、強い影響を受ける理由になっています。政治家や実業家は人よりも大きなビジョンが必要です。そして、そのビジョンの原型を歴史に名を残した偉人に求めます。安倍首相の場合は、「戦後の総理大臣として歴史に名を残した祖父」が相手なので、その影響が強くなるのも当然です。
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思い出がやる気を高める
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