物忘れがひどい、怒りっぽい人は脳疲労が原因かも。危険度チェックリスト
新しい生活様式にも慣れ始めた昨今、どうも以前のように調子が出ない人も多いのでは? 物忘れ、遅刻、怒りっぽい、無気力……その他不調、実は生活パターンの急変による脳の疲労が原因かも。
コロナによって生活様式が変わったことで、脳に負担がかかり、脳機能が低下してしまう“脳疲労”に悩まされる人が増えているという。脳神経外科医の奥村歩(あゆみ)氏は、その実態を次のように語る。
「自粛期間中だった4~6月よりも、むしろ7月頃から脳疲労の患者は増えてきた印象です。テレワークが浸透し、Zoom会議やメールチェックなどで一日中デジタル機器からの視覚情報に触れっぱなしでいると、脳で一時的な情報の保管と処理を行う“ワーキングメモリ”と呼ばれる部位ばかりが酷使される。
その上、休憩中や寝る前もスマホをいじっていると、ワーキングメモリの休まる暇がなく、インプットした情報が整理されずにオーバーフロー状態になってしまいます。
すると、情報処理能力が落ちて大事な予定を忘れたり、人の名前が出てこないなど、認知症に似た症状が表れることがあるのです」
しかも、物事を深く考える領域や、情報を整理して新しい価値を創造する“デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)”という領域は、逆に使われずに錆びついていってしまうという。
「そのせいで、映画やドラマの内容が頭に入ってこなかったり、企画書を書くときコピペに頼るようになったりと、アウトプットがうまくできなくなることも」
さらに脳に負担をかけているのが、「7月以降の新しい生活様式」だと語るのは、疲労と睡眠の専門家である梶本修身氏だ。
「1週間のうち半分は出勤し半分はテレワーク、といった働き方になると、起床時刻や睡眠時間などが不規則になり、生活リズムは自粛期間の頃よりも乱れます。この乱れを元に戻そうと調整するとき、脳はもっとも疲弊するのです」
これは“自律神経”と呼ばれる神経の働きだが、作業療法士の菅原洋平氏も「自律神経への負荷が脳疲労を誘発している」と語る。
「人との直接的な接触が減った現状では、社会とのつながりを通して心を落ち着かせる脳の働きが弱まっています。すると交感神経が暴走し、怒りっぽい、涙もろいなど感情的になりやすくなる。
さらに、こうした過度な緊張状態が続くと、交感神経に負荷がかかりすぎて働きが低下し、予定をドタキャンしてしまったり、寝てはいけないときに眠ってしまったりする無気力・うつ状態に陥るのです」
こうした脳疲労の状態を放置しておくと、「うつ病や将来の認知症リスクを高めるだけでなく、免疫力を低下させ、健康寿命にも影響します」(梶本氏)
![[脳疲労]を防げ!](/wp-content/uploads/2020/10/202010130201-550x276.jpg)
「新しい生活様式」のせいで脳疲労が深刻化している!?

テレワークでも脳が疲弊
物忘れがひどい・怒りっぽいも脳が疲れているから
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