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座って飲むだけ「チェアリング」缶ビールと椅子ひとつで天国に

 椅子取りゲームの人生に疲れてしまったのか。自分の椅子を持ち歩き、気に入った場所に座るチェアリングが密かにブームだ。会社や家庭に居場所がなくても、自分だけの安らげる居場所は案外近くに見つかるかもしれない。

缶ビールと椅子ひとつでオンリーユーの「天国酒場」

スズキナオ氏(右)とパリッコ氏の写真

チェアリング提唱者のスズキナオ氏(右)とパリッコ氏。ユニット「酒の穴」としても活動している。共著に『椅子さえあればどこでも酒場 チェアリング入門』(Pヴァイン)がある。写真はスズキ氏提供

 折りたたみ椅子を片手に憩いの場所を探し求め、気に入ったロケーションが見つかったら、腰を下ろして自由気ままに酒を楽しむ……。そんな新しい野外飲みスタイル「チェアリング」がコロナ禍で注目を集めている。生みの親の一人、居酒屋ライターのスズキナオ氏は「チェアリングは最も密から遠い」とそのメリットを話す。 「人混みを避けながら、公園、河川敷、街中のどこにでも椅子を置いて飲める。特に水辺では、複数人で飲んでも、海や川のほうに自然と顔が向くので飛沫をお互いに飛ばしてしまう危険は少ない。普段は気にしない水面や梢の揺らぎを眺めながら、お酒を飲むのはいいものですよ」

今の季節は金木犀の香りも心地よい

 チェアリングの基本は、機動性を高めるという点で「軽装備」だという。そのため、酒のつまみも現地調達が望ましいようだ。スズキ氏が続ける。 「おつまみは手が汚れない海苔巻きがおすすめ。スナック菓子は風に飛ばされないように注意が必要です。最近、私はお弁当を作っていますが、ミートボールとハッピーターンを一緒に入れたりするくらい雑なもの(笑)。あと100円ショップで売っている食器収納用の折りたたみ式ラックがあると便利です。お酒やつまみを地面に置くのとは気分がだいぶ違いますから」  そして、最も重要なのは「他人の邪魔にならないこと。だからあまり大人数ではないほうがいい」と、チェアリングはまさに新しい生活様式にマッチした飲み方だろう。  コロナ禍では飲食店のテラス席も人気となっているが、自由が丘のテラス席があるお店を巡ってブログにまとめていたIT会社勤務の山岸杏子氏は、’18年の夏頃、「椅子があればどこでもテラス席になる」と気づいたという。 「あとからチェアリングという言葉を知りました。『外でお酒のもう』より『チェアリングしよ』って言ったほうが誘いやすいし、いい言葉だな、と思っています。今の季節は金木犀の香りも心地よい。布団を干しながらチェアリングしたこともあります(笑)」(山岸氏)
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外で飲むだけではない。奥深いチェアリングの世界
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