ウーマン村本が言及しなかったこと「大久保利通の決断が沖縄・尖閣諸島を守った」
―[江崎道朗のネットブリーフィング]―
【江崎道朗のネットブリーフィング 第28回】
トランプ大統領の誕生をいち早く予見していた気鋭の評論家が、日本を取り巻く世界情勢の「変動」を即座に見抜き世に問う!
沖縄は「もともと中国から取ったんでしょ」?
インターネットでは、村本氏を批判するコメントが溢れていて、その不見識を非難するのは容易いが、インターネットで情報を得ている若い人たちが尖閣諸島や沖縄の領有問題に関心をもってくれたのだ。せっかくの機会なので、沖縄及び尖閣諸島がいかにして日本領になったのか、その経緯を紹介しておきたい。
実はこの経緯には、NHKの大河ドラマ『西郷どん』の主人公、西郷隆盛とその盟友、大久保利通が深く関係している。
西郷らが主導して成し遂げた明治維新によって日本は、それまでの江戸幕藩体制から、近代独立国家へと移行し、懸命に国家体制を整備するようになる。
その課題の一つが、沖縄などの領土の確定であった。
というのも、沖縄は古くから琉球王国と称しており、17世紀頃は、明や清といった中国大陸国家と朝貢・冊封関係にあった。この関係をもって琉球は中国の属国だと考える人がいるが、それは誤りだ。
歴史学者の宮脇淳子氏によれば、朝貢・冊封とは《周辺の国や部族がシナ皇帝を宗主と仰いで使節を派遣し、自分が統治する権利を皇帝から承認してもらうこと》に過ぎない(『封印された中国近現代史』ビジネス社)。
《今の中国は、使節がやってきた地域はすべて昔から中国の領土だったと言いますが、友好使節を派遣しただけで、支配されていたわけではありません。国民国家以前の時代ですので、王が冊封を受けて朝貢にやってきたからといって、王の統治下の地域がシナ王朝の属国であったわけではないのです。》
朝貢をしていたからと言って、中国の支配下に入っていたわけではない、ということだ。しかも1609年以降は、日本の薩摩藩の支配下に入り、琉球は大陸の王朝と薩摩藩そして徳川幕府に「両属」していた。
このため明治時代になり、日本政府は、琉球つまり沖縄の帰属問題に直面する。
折しも清との間に日清修好条規が結ばれた1871年(明治4年)10月、台湾に漂着した宮古島住民54名が、台湾の先住民のパイワン族に殺害される事件が起こった。
「琉球の宮古島の住民は日本国民である」との立場から日本政府は、清に抗議する。ところが清は、台湾のパイワン族は文化の及ばない「化外(けがい)」だと答えた。台湾の原住民は、自国の領民に含まれないので、日本人が殺されたのは自分たちには関係がないと、責任逃れをしたのだ。
この清の回答を聞いて激怒したのが西郷隆盛の盟友、大久保利通だった。
自国民を保護することが国際法上の独立国家の条件であることを理解していた大久保は、1874年5月、自国民殺害の征伐をするため台湾に軍隊を派遣した(台湾出兵)。
大久保利通は、日本中と世界中を敵に回した
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(えざき・みちお)1962年、東京都生まれ。九州大学文学部哲学科卒業後、石原慎太郎衆議院議員の政策担当秘書など、複数の国会議員政策スタッフを務め、安全保障やインテリジェンス、近現代史研究に従事。主な著書に『知りたくないではすまされない』(KADOKAWA)、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』『日本占領と「敗戦革命」の危機』『朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作』『緒方竹虎と日本のインテリジェンス』(いずれもPHP新書)、『日本外務省はソ連の対米工作を知っていた』『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』(いずれも扶桑社)ほか多数。公式サイト、ツイッター@ezakimichio
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