「日本で飼育されているジュゴンは1頭のみ」気づいたら“会えない”かもしれない、水族館のいきものたち
いつでも会えると思っていた。でも気づけばラッコを愛でられる水族館は日本に2館しかない。さらに、日本の水族館で飼育数が減っているのはラッコだけではない。なぜそうなったのか、これからどうなるのか、最前線をリポートする。
「水族館の飼育ラッコが急に3頭になったわけではない。10年以上前からこうなることはわかっていたんです」
三重県鳥羽市の「鳥羽水族館」で40年間ラッコの飼育を担当する石原良浩さんは、ラッコの数が減少した現状に対し淡々と語る。
現在、国内のラッコ飼育数は同水族館で飼育するメスのメイ(19歳)とキラ(15歳)の2頭のほか、福岡県福岡市の「マリンワールド海の中道」のオス1頭のみだ。
しかし、日本の水族館で飼育数が減っているのはラッコだけではない。
京都大学野生動物研究センターでラッコについて研究する三谷曜子教授に、今後水族館で見られなくなる可能性のある生物について聞いた。
「まず挙げたいのはイルカ。なかでも希少なのが、ネズミイルカやイロワケイルカです。これまでは野生でイルカを捕獲したり、漁業の網などに混獲した個体を研究や治療目的のために水族館で飼育していました。
しかし国内では、’15年にイルカの捕獲をJAZAが禁止したり、水産庁が混獲したイルカは海への返還を義務づけたりしたことで、新たな個体を持ち込めなくなった。学術的捕獲が唯一の方法ですが、水産庁の許可のハードルが高い」
野生に溢れる種でも、日本の水族館からは消滅するかもしれない。
また、ワシントン条約(附属書Ⅰ)により輸入禁止の生物も、飼育数が減少している。
「日本で飼育されているジュゴンは鳥羽水族館の1頭ですが、タイやオーストラリアには生息しています。ただし、ジュゴンは国際条約で輸出入が規制されていて、日本に連れてくるのは難しいでしょう」
専門家に聞いた「今後水族館で見られなくなる可能性のある生物」
日本で飼育されている「ジュゴン」は鳥羽水族館の1頭のみ
この特集の前回記事
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ
日刊SPA!の人気連載