パルティール債権回収会社との一戦が終わり、さらなる敵との邂逅があった。 「しこう法律事務所です」 　彼らは三菱UFJの手下として現れた。UFJには随分世話になっていて、僕のメインバンクであり、クレジットカードでは90万円近く借りていた。電話を無視し続けたことによって金利やら遅延金やらが発生して100万円以上の返済をしなければならないらしい。 　弁護士事務所からの連絡は、20万円以下の場合には大したことをしてこない。SMSで「最終通告」と書かれたメルマガを定期的に送ってくるぐらいだが、100万円ともなるとそうはいかない。彼らとも僕は向き合っていこうと決めていた。 「今年から少しずつ返すつもりなんですが」 　小細工は要らない。金がなく、働く先も定まっていないが可能な限り返済はしたい。ぶつかっていくしかない。弁護士は機械じゃない。彼らにも赤色の血が流れている。 「今、ある程度条件を決めてしまいましょう」 　僕は工事現場で働いていること、現在多重債務者であること、条件次第では自己破産をせずに返済したい旨を伝えた。もう試合に負けてもいい。納得のいく勝負ができれば良かった。 「利息はこれ以上増やしません。その代わり必ず毎月返済してくださいね。近日中に契約書をお送りいたします」 　ある意味での最後通告だったのかもしれない。だが金貸しにも人の心は通っていた。カード会社は一括払い以外認めなかったが、弁護士事務所は僕でも想定し得ない譲歩をしてくれた。 　二週間後、100万円に対して毎月1,200円弱を支払うように契約書が届いた。破格すぎる条件だ。 　目を疑った僕は帰りにコンビニで一番高いビールを買い、祝杯を上げた。 　サブスクリプション「三菱UFJ」に、乾杯……。〈文／犬〉フィリピンのカジノで1万円が700万円になった経験からカジノにドはまり。その後仕事を辞めて、全財産をかけてカジノに乗り込んだが、そこで大負け。全財産を失い借金まみれに。その後は職を転々としつつ、総額500万円にもなる借金を返す日々。Twitter、noteでカジノですべてを失った経験や、日々のギャンブル遊びについて情報を発信している。 Twitter→@slave_of_girls note→ギャンブル依存症 Youtube→賭博狂の詩