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ザコシ、安村…「裸芸人」の元祖は誰? レジェンド裸芸人を振り返る

マッチョ芸人「ぶるうたす」がお笑い史に残した功績

 裸芸人の中で非常に重要な存在なのが、ぶるうたすだ。ぶるうたすは、1982年に当時多くのお笑いスターを生み出したオーディション番組「お笑いスター誕生!!」(日本テレビ系)に、彗星のごとく登場した。マッチョボディーのボディービルダーで、ポージングをしながら漫談をすると言う斬新なスタイルで一気に人気者となった。
 このボディービルダー漫談には、現在、なかやまきんに君というフォロワー芸人が存在するし、品川庄司の庄司智春小島よしおなどもマッチョボディーで笑いを取る。さらに「キャラ付けされたピン芸人による漫談」は、「エンタの神様」(日本テレビ系)で量産されたスタイルである。ぶるうたすは、一発屋芸人として消えていってしまったが、そのスタイルは先鋭的であり、かつ普遍的であり、今になってみると、彼がお笑い史の中で、非常に重要な役割を果たしたことがわかる。

お茶の間に愛される裸芸人・上島竜兵

 週刊プレイボーイの3月15日号で、ハリウッドザコシショウとにかく明るい安村アキラ100%「裸芸人サミット」なる対談を行っている。その中で安村は、アキラ100%の引き締まった身体は、裸芸人の中でもベビーフェイス(善玉)であるが、ザコシや自分のような肥満した身体はヒール(悪玉)だと語っている。

 肥満した醜い身体の、安村言うところのヒール系裸芸人の元祖は、言わずもがなダチョウ倶楽部上島竜兵である。しかし身体はヒールかもしれないが、上島竜兵の存在自体は非常にベビーフェイス的であった。井手らっきょは、いわば露出狂のメタファーであり、ぶるうたすもオーディション番組内の人気者で、両者がカルト的な存在であったのに対して、上島竜兵は広くお茶の間に愛された。決めゼリフの「聞いてないよォ」は’93年の流行語大賞を受賞した。ゆるキャラ化され、一般に認知された最初の裸芸人が、上島竜兵である。裸芸人は、井手らっきょ、ぶるうたす、上島竜兵という、3人の偉人、否、裸人によって、日本のテレビ界の欠かせない存在になったのだ。  件の「裸芸人サミット」でザコシは、いちど芸人として頭打ちにならなければ裸芸人にはならない。いきなりやけっぱちの人はいないと語った。人生をサバイブしていく覚悟の表れが、「裸」という選択なのである。
1968年生まれ。構成作家。『電気グルーヴのオールナイトニッポン』をはじめ『ピエール瀧のしょんないTV』などを担当。週刊SPA!にて読者投稿コーナー『バカはサイレンで泣く』、KAMINOGEにて『自己投影観戦記~できれば強くなりたかった~』を連載中。ツイッター @mo_shiina
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