更新日:2021年03月20日 09:49
ライフ

“上級国民”の老人はなぜキレる? 被害者たちの声

餌食にされる部下たち

暴走老人

女性に対する強制わいせつの疑いで逮捕されたスポーツ用品大手のアルペンの水野泰三・前会長

 真っ先に被害者となるのは部下だろう。大手外食フランチャイズチェーンに勤めるAさん(49歳・男性)もそんな一人だ。 「店舗を所有するオーナーの意向を汲みつつ、チェーン本部の意向もあるので、双方の最善の着地点を探し、オーナー寄りの改装をして喜んでもらったんです。ところが、それを知って激ギレした担当役員(72歳・男性)が朝6時に電話をかけてきて、延々1時間以上も説教され、私は九州にいるのに午後に東京の本社に行って釈明させられました。  その後、担当を外されたのですが、改装した店舗が地元で評判を呼ぶと、手のひらを返して『あれはオレの仕事だ』と社内で吹聴していた……やってられませんよ」

「暗黒の3要素」がエリートを暴走させる!?

 企業統治に詳しいコミュニケーション・ストラテジストの岡本純子氏は、エリートの高齢者が独善的な理由をこう説明する。 「心理学では、出世する人は『暗黒の3要素』という人格的特質を持っている。3要素とは、①身勝手な利益のために他人に影響を及ぼそうするマキャベリスト的な傾向、②自己本位のナルシシズム、そして③他者への共感が欠如したサイコパス的な反社会的人格。さらに、組織を率いて権力を手にすると、この暗黒面が顕著に表れる。  自分勝手な言動が増える一方、他人に共感したり、気を使うことは減るし、キレたときにたしなめる人もいない……。エリート老人は、一般の高齢者に比べキレやすいと言えるでしょう」
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激昂した理事長に殴られ全治3か月
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