更新日:2021年03月20日 09:49
ライフ

“上級国民”の老人はなぜキレる? 被害者たちの声

激昂した理事長に殴られ全治3か月

暴走老人

妻へのDV容疑で逮捕されたゴンチャジャパンの原田泳幸・前会長

 財団法人に勤務していたBさん(44歳・男性)は、「暗黒の3要素」をコンプリートする理事長(75歳・男性)に人生を壊された。 「会社や法人をいくつか持つ理事長は、一代で財を成した成功者ですが、すぐに手が出るタイプでパワハラが常態化していた。ある日、私がゴミの分別を間違えたら、激昂した理事長に殴られ、あまりの激痛に医者に行くと肋骨が折れて全治3か月でした。  抗議すると『クビだ!』と大声で恫喝される日が続き、うつ病に……。その後、休職しましたがそれだけでは済まず、私がいない間に『詐病だ!』『あいつは横領している』と、あらぬ話を言いふらされ、退職を余儀なくされました」  業界紙記者のCさん(26歳・男性)もまた、被害者の一人だ。 「創業社長(75歳・男性)の頭が古くて、新聞社なのに共用PCが2台しかない。購入を求めたら、『自分の給料で買え!』とキレられて、以来、昼休みを規定の1時間取ると、『給料泥棒!30分で済ませろ』と見張ってるんです」  異常な猜疑心は、「暗黒の3要素」の一つに当てはまる……。

孤独で常に満たされていないからキレやすい?

暴走老人

OECDの’05年の調査によれば、日本人男性の孤独度は先進国でも圧倒的に高い。孤独は幸福度を低下させ、キレやすくなる

 キレる「エリート老人」は、日本に特徴的な現象の可能性があるという。前出の岡本氏が続ける。 「欧米では年をとるほど幸せを感じる人が増えるが、日本では逆に幸福度が下がる。実は、人の幸福度を決めるのはお金や地位ではなく、人との繋がりであることが多くの研究で明らかなっている。  だが、日本の男性は非常に孤独で、OECD(経済開発協力機構)の調査によれば、『友人や同僚とほとんど時間を過ごさない人』の割合は、約17%と先進国21か国中ダントツ。リーダーである『エリート老人』なら、一層孤独感に苛まれているでしょう。孤独で常に満たされていないから、キレやすいのではないか」
暴走老人

孤独担当相が新設されたが、老人がキレる素地となる「孤独」を防げるか、未知数だ

 2月12日、政府は孤独担当相を新設したが、主眼はコロナ禍で増えた自殺対策に置く。「エリート老人」の暴走は止まらなそうだ……。
次のページ
「キレただけ」でも、懲役刑の可能性も!?
1
2
3
4
おすすめ記事