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日米vs中国の対立激化で緊迫化する尖閣問題。地元漁師も不安の声

石垣島の漁民からは不安の声

尖閣

石垣島で漁業を営む高橋さん。「脅威なのは、中国が僕らと同じ漁法で魚を獲り始めること。既にサンマは中国のせいで不漁ですから」

 この法律が、国際法上における中国の領海でのみ適応されるのならばまだいいだろう。しかし中国の領海法では、沖縄県の尖閣諸島も中国の領土と一方的に宣言されており、その周辺12海里(約22㎞)の海域も中国の領海と主張している。  つまり、尖閣周辺海域で操業する漁船や領海警備を行う海上保安庁の巡視船も、海警局による攻撃を受ける危険性があるのだ。  海警法の施行に、石垣島の漁民からは不安の声が上がっている。八重山漁業協同組合の伊良部幸吉代表理事専務はこう話す。 「石垣島には約330人の漁業従事者がいますが、海警法が施行されて射撃されるんじゃないかと心配する漁業者は多いですね。もう、尖閣には近寄りたくないと思っている人がほとんどではないでしょうか。  フィリピンの南沙諸島では、約220隻の中国漁船が集結したとニュースで見ましたが、中国をこれ以上刺激すれば尖閣周辺でも同様のことが起きかねない。そうなるとさらに厄介ですからね。  幸い、島の南方海域に尖閣より近くていい漁場があるので、ほとんどの漁師はそこで操業しています」  石垣島での漁業歴が長い漁師の高橋さんは、「尖閣にはおそらく一生行かないだろう」と話す。

漁民にとって一番の問題は日中漁業協定

尖閣

仲間氏が尖閣沖で漁船から撮影したもの。「中国公船と私たちの船の間に入る形で海上保安庁の船が至近距離で停滞し、スクリューで魚を散らすので釣りどころではないのです」写真提供/仲間均氏

「この問題はお互いに干渉することなく、曖昧な状態を続けるのが一番じゃないですか。あの海域は、私たちからしたらすでに中国が支配しているようなもの。それを奪い返すってことは、戦争になっちゃうってこと。そうなったら被害を受けるのは、まず僕ら漁師です。そのことをよく考えてくれっていう話なんですよ。よそから来た活動家が中国を挑発するようなことをやってるけど、はっきり言って迷惑。  それよりも日中漁業協定を何とかしてほしい。この協定で、尖閣諸島よりも南側にある日本の北緯27度以南のEEZ(排他的経済水域)では、中国漁船は操業していいことになっている。現在は中国漁船がそれほど来てないけど、もし操業しだしたら魚の取り合いになる。サンマだって中国が獲り始めて、日本ではめっきり不漁になりましたから」  漁民が尖閣から遠ざかっているのはリスク以外にも理由はあるようだ。前出の伊良部氏が話す。 「まず、尖閣に行こうとすると海上保安庁の臨検を受けなければならないのですが、これが結構メンドくさい。さらに、船の燃料が高騰化している今、石垣から170㎞ほど離れた尖閣諸島まで行くのはコストが大きすぎるという面もあります。  加えて、今はコロナ禍のせいで魚価が安い。現地で何日も泊まって、よほどの量を持ち帰らなければ採算が合わないんです。ただ、逆を言えば、燃料代が下がって魚価が上がれば、尖閣に行きたいという漁師もいると思います。  実際、いい漁場であることは間違いない。10年ちょっと前、まだ平和だった頃に資源情報の確認ということで尖閣に行ったことがありますが、そのときは大漁でした。産卵のタイミングだったので、浅瀬にたくさん魚が集まっていて、大きなアカジンミーバイ(スジアラ)がいっぱい。氷が足りないくらいの漁獲量でした」
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尖閣諸島周辺は豊かな漁場
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