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眞子さまの選択を尊重できる文化的な国であってほしい

婚約が内定していた小室圭さんと、年内に結婚する見通しが明らかになった秋篠宮家の長女・眞子さま。眞子さまは、小室さんを巡る金銭トラブルに対する国民感情に配慮し、皇室を離れる際に支給される一時金は辞退する意向を示されているという
眞子さま

写真/時事通信社

ラブトレイン、もどれない/鈴木涼美

 20年前の米映画『イン・ザ・ベッドルーム』は、知的で文化的で良識的な両親に大事に育てられた息子が、筋の悪いトラブルを抱えた女と情熱的な恋におち、両親の控えめな忠告をガン無視して愛し合っていたところ、元々女が抱えていたトラブルが原因で悲劇に巻き込まれるところが前半のハイライトだ。  皮肉なのはもうちょっとバカで下品な親なら、女に手切れ金を渡すとか、息子を強制的に留学させるとかしただろうという点だ。  両親はいかんせん知的で文化的で良識的であったが故に、内心では絶対あの女やめたほうがいいのにと思っても、最終的には息子の自主性を尊重し、無理矢理別れさせるような野蛮なことをしなかった。  結婚が延期されていた秋篠宮家の長女・眞子さまが、小室圭氏と年内に結婚される方向で話が固まったようだ。おそらく関係者で、小室氏の人となりを絶賛し、二人の結婚を推し進めた人は皆無なのだろうから、最終的にお二人の意思が尊重された、もっと言えば眞子さま個人の自主性が重んじられたと推測できる。  これは皇室に関する一般的なイメージを覆すものだった。というか、多くの国民が、いくら表面上は個人の思いが尊重されると言っても、この国では全然そんなことないという気がしている中で、皇室の中は一般社会や政治家界隈より余程文化的で先進的な考えが浸透しているのかもしれない。  父である秋篠宮さまが「結婚は両性の合意のみに基づいて」と憲法を引いて、本人たちの気持ちを尊重するご発言をされたのも記憶に新しい。
眞子さま

写真は今年6月、香淳皇后の陵墓・武蔵野東陵を参拝されたときのもの 写真/時事通信社

 小室氏について、彼が友人の彼氏だったとしたら、やめたほうがいいのに的な文句をつけることはいくらでもできる。  大体、あんな珍妙な論文じみた文書でことの顚末を説明してくるような男は、もし浮気したりギャンブルで大金失ったりしても、自分がいかに間違っていないかをA4用紙28枚くらいにまとめて渡してくるだろう。イルカに乗ってやってくる海の王子は城みちるで十分だし、一部報道では過去にイジメに加担していたという、コーネリアス風の疑惑も指摘されている。  ただ、恋愛中の個人に対して、周囲の批評なんてものがいかに無力かは、長年人の恋バナや結婚話と離婚話を聞いてきた独身女としては身に染みている。むしろ恋愛当事者は、周囲の反対があればあるほど、相手の本当の魅力をわかっているのは自分だけだと、友人の評価はイマイチでもShe So Cuteだと、頑なになる。  友人が離婚して戻ってきたときに、だから言ったのにという言葉が喉元まで出かかることはあるが、映画ほどの悲劇に巻き込まれることはほとんどないし、温かくお帰りと言うのがベストだ。  眞子さまは反対過激派の人たちが最も引っかかっていた一時金については辞退の意向を示されていて、結婚も皇族としては異例の「儀式なし」という形が予定されている。  今後は過激派の声も、極端に言えばお節介な友人たちの聞き入れられないアドバイスと同次元のものになるわけだし、サラリーマンの生涯年収ほどのお金を辞退してでも意思を通された若き女性の選択を尊重できる程度には知的で文化的で良識的な国であってほしいと思う。  自主性を尊重されることは、本人にとっては過酷なことでもあるが、先進的で逞しい女性はそんなことは承知だろう。NYで活躍して、ここのところすっかり遅れてて冴えない我が国のイメージを払拭してくれるかもしれない。 ※週刊SPA!9月7日発売号より ’83年、東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。専攻は社会学。キャバクラ勤務、AV出演、日本経済新聞社記者などを経て文筆業へ。恋愛やセックスにまつわるエッセイから時事批評まで幅広く執筆。著書に『「AV女優」の社会学』(青土社)、『おじさんメモリアル』(扶桑社)など。最新刊『可愛くってずるくっていじわるな妹になりたい』(発行・東京ニュース通信社、発売・講談社)が発売中

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