人事部は採用候補者のSNSをこう見る「“非公開”や“全消し”は逆に怪しい」
人事部が採用候補者のSNSをチェックしている——。こんな話が出回るようになって久しい。就職(転職)活動を始めた途端、過去の「黒歴史」を整理するという学生や社会人も多いだろうが、アカウントを「非公開」にするべきか、あるいは投稿も含めて「全消し」するべきか。いや、それではあまりに不自然ではないのか。
あるテレビ局の人事部に勤務する中野聡介さん(仮名・20代)が振り返る。
「自分も学生時代はフェイスブックにツイッター、インスタグラムと、ひと通りのSNSには登録し、かなり更新もまめにやっていましたよ」
そんな中野さんが、ほとんどのSNSに鍵をかけ「非公開」にしたのは、大学3年生になったばかりのときだ。現在在籍しているテレビ局に「OB訪問」で訪れた際、「SNSはヤメたほうがいい」と助言を受けたからだ。
「人事部の方が、エントリーしてきた学生のSNSを全てチェックしていると。それで、全てのSNSアカウントを『非公開』にしたんです(笑)」(中野さん、以下同)
有名私大の経済学部に通いながら夕方はアルバイト、夜は飲み会やデート。長期休暇には海外でボランティアをこなすという、完全なる「陽キャ」だった中野さん。タイムラインには、あまりにも眩しすぎる投稿が並んでいたに違いない。
しかし、何気ない投稿であっても万が一「問題がある」とみなされてはかなわない。非公開は、中野さんの就職のためには是非とも必要なことだった。
それから数年が経ち、今度は中野さん自身が人事部に所属することになった。
学生のSNSにかんしては、むしろ「非公開」や「全消し」の場合、逆に「やましいことがあるのではないか?」と見るようになったと説明する。
「普通に生活していれば、SNSは絶対にやるじゃないですか。それが全部『非公開』になっているとか、そもそもアカウントが存在しないとなれば、やっぱり怪しいんですよ。
ただ、それも今の学生はわかっているのか、『全消し』はせずに、無害っぽい投稿をいくつか残しておくか、聞かれても『SNSは見るだけで、あまり投稿はしません』と答える風潮にあるようです」
大手企業を志望する学生にとって、人事担当者が見ているならば、SNSは自分をアピールするためのツールにもなり得る。その利用法については慎重にならざるを得ないだろう。
SNSとの向き合い方は悩ましい問題でもある。人事関係者に話を聞いた。
以前は「SNSをヤメる」のが最善だった
現在は「非公開」や「全消し」は逆に怪しい
新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。
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