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チェチェン戦争から一貫して変わらない”プーチンの暴走”。世界は気づくのが遅すぎた

「爆弾テロはロシアの自作自演」と発表していたFSB元スパイ・リトビネンコの暗殺

 彼女の暗殺から12日後の10月19日、「チェチェン戦争の口実に使われた連続爆弾テロは、ロシアの自作自演」と発表していた前述の元FSB中佐リトビネンコは、ロンドン市内での記者会見で次のように明言した。
「ロシアはFSBの厳格な統制下にあります。アンナ(ポリトコフスカヤ記者)のような立場のジャーナリストが、プーチン大統領本人の許可なく抹殺されることなどまったくあり得ません」  記者会見から間もなく、ポリトコフスカヤ記者暗殺に関連する文書を受け取るため、リトビネンコはロンドン市内で3人の関係者と会った。その直後に体調を崩して翌日に入院し、11月23日に死亡した。体内からは、ポロニウム210という放射性物質が検出されている。

ウクライナ侵略は「大ロシア帝国復活」を目指すプーチニズムの最後の賭け

ロシア軍が全面侵攻したチェチェンでは、大量の民間人が犠牲になった

ロシア軍が全面侵攻したチェチェンでは、大量の民間人が犠牲になった

 以上見てきたように、第二次チェチェン戦争で権力を盤石のものとしたプーチンは、戦争・暗殺・弾圧で自身の野望達成の障害物を次々に除去して現在に至っている。  大規模戦争でチェチェンを制圧した後、2014年にはウクライナ東部地域のロシア系組織にテコ入れし、南部のクリミア自治共和国を併合した。  こうした「成功体験」の積み重ねの延長で、今回のウクライナ侵攻がある。  プーチン政権は「ウクライナによるジェノサイド(集団虐殺)から救い、ウクライナの非ナチス化を目的とした軍事作戦だ」と強調する。しかし、ネオナチはごく少数であり世界各国どこにでも存在する。  実際の軍事行動を見てもロシア人保護などではない。ウクライナに対しても主権を放棄するような要求をしており、プーチンの言う“特別軍事作戦”の目的とはまったく違う。いまウクライナで行なわれていることは、「大ロシア帝国復活」のための障害物を徹底除去するプーチニズム実現の賭けだ。  だが、戦闘と占領が長引いて市民の抵抗が続けば、第二のチェチェンが再現されてしまう可能性は高い。したがって今はプーチン政権の軍事行動を止めることに全力をあげるしかない。  一方、中長期的には、米英をはじめとするNATO側、西側がこれまで実行してきた「正と邪を二分する政治」と「正義の戦争」を厳しく検証することも迫られるだろう。 文・写真/林克明
ノンフィクション・ライター。週刊誌記者を経てフリーに。ロシア・チェチェン戦争を16回現地取材し『ロシア・チェチェン戦争の628日~ウクライナ侵攻の原点に迫る』(清談社パブリコ・第3回小学館ノンフィクション賞優秀賞作品の増補改訂版)を上梓。ほかに『増補版プーチン政権の闇』(高文研)、『不当逮捕~築地警察交通取締まりの罠』(同時代社)など
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プーチン政権の闇―チェチェン戦争/独裁/要人暗殺

ウクライナ侵攻以前から、プーチン政権の 危険性を告発していたジャーナリストの著書

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