更新日:2022年03月25日 13:25
ニュース

数千万人規模の感染者が見込まれる第6波。大きく遅れる収束時期と求められるLong-COVIDへの対応

懸念されるLong-COVID

 インフルエンザとCOVID-19の決定的な違いは、Long-COVID(長期感染、後遺症)の存在です。Long-COVIDは、感染した人の少なくとも20%程度に発生し、無症状や軽症であってもCOVID-19 Long-Hauler(後遺症を持つ人)になることが分かっています。  Long-COVIDは、特に日本ではよく知られておりませんが、BBC報道によると英国では昨年で300万(総人口の5%))人近い人が深刻なLong-COVIDに苦しんでいるとされます。  これまで本邦は、感染者数が数万人から多くても300万人程度でしたので、Long-COVIDで苦しむ人はそれほど意識されてきませんでした。しかしο株Surgeではインフルエンザ並みの数千万人の感染が考えられ、Long-COVIDになる確率がこれまでと同じならば500万人以上の人たちがCOVID-19 Long-Haulerとなる可能性があります。  世界各国でLong-COVIDの研究、治療は進められていますが、本邦でも世界に追いつく必要が生じると筆者は考えています。

収束はいつになるか

 第6波エピデミックSurgeの収束を筆者は、5月連休以降と予測していました。しかし実際には日毎新規感染者数の一週間変化率が40日間継続して-10%と著しく減衰速度が遅く、しかも検査陽性率も殆ど改善していないため、収束には夏まで要するのではないかと筆者は懸念しています。  またο株の下位分類変異株であるBA.2が急速に増加しており、近いうちにドミナントになると見込まれます。  BA.2については、京大の西浦博博士が専門家分科会に4月までにはドミナントになる恐れがあるという資料を出していましたが、どうやらその通りになりそうです。このBA.2は現在ドミナントのBA.1/BA.1.1に比して30%感染力が強いことが分かっています。海外の先行例からもBA.2がドミナントになることによって下げ止まることや再増加に転じる事もあり得ます。この場合、収束の見込みはつかなくなります。  ο株は、最悪の場合人口の過半数が感染することもあり得ます。実例としては香港が挙げられます。この場合、短期的集団免疫によって収束に向かうこととなります。  またこれまでの知見と統計分析から自然獲得免疫は半年程度は持続すると考えられこの場合は、筆者が予測する上での「シナリオ」として想定している夏のSurgeは発生せず、第7波は冬に発生することが見込まれます。  ο株では1万人以上の方が亡くなることは、ほぼ確実であり、しかも数百万人の人々がLong-COVIDにより生活の質が著しく低下する可能性があります。十分に感染防止に配慮し、感染した可能性があれば証拠を残すために必ずPCR検査を行うか、無理ならば唾液検体を採取して採取日付を明記して冷凍庫で保存することを強くおすすめします。将来の難病指定などにおいて重要な証拠となります。  筆者は、昨年12月以来10回のPCR検査を行っており、9回目までは全て陰性、現在10回目の結果待ちです。3月上中旬に大勢の人との接触機会があり、体調がその後たいへん良くないので発熱等の症状が出たら直ちに唾液検体を採取し、郵送しています。今回も陰性判定は既に出ていますが、検体採取に不確実性があるために必ず2回の検査を行っています。  今回は、ここまでとなります。 <文/牧田寛>
まきた ひろし●Twitter ID:@BB45_Colorado。著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後解雇。1年半の沈黙の後著述家として再起。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。原発問題について、そして2020年4月からは新型コロナウィルス・パンデミックについてのメルマガ「コロラド博士メルマガ(定期便)」好評配信中
1
2
3
誰が日本のコロナ禍を悪化させたのか?

急速な感染拡大。医療崩壊。
科学者視点で徹底検証!

おすすめ記事
【関連キーワードから記事を探す】