世田谷通りに出現する“ナゾの巨大仏”。誰もが感じる違和感の正体とは
電車や車に乗っていて、形やデザインの印象的な建築物やモニュメントが、最初は驚いて「いつか見に行ってみよう」と思っていたのに、通勤や通学中に毎日見かけるうちに、当たり前の景色になって、眺めるだけになってしまった経験は誰にでもあるだろう。そんな「眺めるだけの車窓風景」の中でも、多くの人が気になっているであろう“ナゾの建造物”について、実際に近くまで行き、関係者に誕生の裏側を聞いた。
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渋谷区三軒茶屋から狛江市へ抜ける東京都道3号線は「世田谷通り」と呼ばれ、朝は上り夕方は下りを多くの通勤の車が行き交っている。
そんな世田谷通りの大蔵から砧付近で、道路脇に大きな仏像が立っていのが見える。大仏の大きさもさることながら、川沿いの高台という抜けの良い景色の中に立っているので、この道路を利用する多くの人の目に留まる。
実際に近づいてみると高さ8mにも及ぶと言う巨像の存在感は圧倒的。ブロンズでできた体は鈍色(にびいろ)で、どこか落ち着きのある荘厳さを漂わせている。
ここは日蓮宗のお寺「東光山 妙法寺」というお寺で、大仏は、平成6年に境内の墓地を守るように建立された釈迦如来立像。「おおくら大仏」と呼ばれ、地元からは親しまれ檀家の心の拠り所となっている。
この大仏を見て通勤しながら「朝見た時と、なんか違う気がする」と違和感を持った人も多いという。実はこの「おおくら大仏」は、日本で唯一の回転して向きを変える大仏なのだ。
世田谷通りを見下ろすように向いているのは17時から翌朝9時までで、朝9時になるとゆっくりと回転し、世田谷通りに背を向け本堂に向かう。そのため、出勤する車で早朝に世田谷通りから大仏を見上げるとこちらを向いているが、帰りに17時より早い時間にこの大仏をみると、今度は背中が見えているということになる。
多くの人が持つ違和感は、この回転によってもたらされている。
世田谷通りを見下ろす大仏
回転する「ハイテク大仏」だった
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Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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