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女性の自殺は8割増、男女平等を主張する連中は命懸けで戦ってるのか?/倉山満

言論ストロングスタイル

先月、米CBSニュースが「日本の10月の自殺者数が、10か月間の新型コロナによる死亡者数を上回る」と報じた。選択式夫婦別姓は大事な事柄ではあるが、今、必要な政治とは…… 写真/時事通信社(立憲民主党提供)

日ごろ「女性の権利向上」を声高に主張する連中は、命懸けで戦っているのか?

 私はパヨクを信用していない。特に、日ごろは「男女平等」だの「女性の権利向上」だのを声高に主張している連中を。  私は、枝野幸男内閣の可能性は限りなくゼロに近いと思うが、まったくのゼロではないと思う。本物のゼロと近似値ゼロは違う。  菅首相は、早期解散に否定的だ。ならば、来年10月の任期満了近くの選挙になる。その時、菅内閣の支持率が今のままだろうか。既に政権発足当初の御祝儀は失われている。もし総選挙の時に自民党の不支持率が高い場合、選択肢は野党第一党の立憲民主党しかない。「枝野でもいいから、自民党はイヤ!」と国民が感じた時、立憲民主党は衆議院議員の候補者の頭数だけは揃えているので、「風」さえ吹けば一気に政権奪取もありうる。  与党は安倍内閣8年の経験から「何をやっても枝野さんが守ってくれる」と油断しているようだが、これまでは景気が一応は回復軌道にあった。だが、リーマンショックで無策を晒した麻生内閣に国民は鉄槌を下した。経済を甘く見ない方がいい。  ただし、枝野立民にとっての「パラダイスシナリオ」ですら、夢は無い。枝野立民にとって。仮に衆議院選挙で多数を取って政権を得ても、参議院で過半数割れしているのだ。ねじれ国会である。思い出せ。民主党政権は参議院で過半数を得ていなかったので、歴代首相が何もできなかった。  それもこれも、昨’19年の参議院選挙で立憲民主党の幹部たちが「今回は勝たなくていい」などとふざけた態度だったからだ。そして、候補者もふざけていた。

ある落選した女性候補者の例

 ある落選した女性候補者の例である。美人で、弁護士で、テレビにも出ていて知名度もある。誰がどう見ても高得票で当選できる候補者だった。思想は立憲民主党的なリベラル、それはいい。しかし、その候補者は昨年の参議院選挙で「選択的夫婦別姓をやりましょう」「LGBTの皆さんの権利を守りましょう」などと必死に訴えていた。バカか。  ここで私は、選択的夫婦別姓やLGBTの権利の是非を問うているのではない。昨年の選挙が何の選挙かわかっていないから、「バカか」と言っているのである。  昨年の参議院選挙は、与党自民党が「デフレ下でも消費増税をやり抜く」と宣言した選挙だった。ならば減税と景気回復を訴えねばならないはずだ。かつての土井たか子社会党委員長は「ド左翼」だったが、自民党が消費税を導入した時に「ダメなものはダメ!」と大敗に追い込んだ。去年も、そういう戦いをしなければならない選挙だったのだ。  ところが、件の女性候補者に限らず、立憲民主党の候補者たちは、自分の訴えたいことだけ訴えた。夫婦別姓だのLGBTだの、訴えなくて票を入れてくれるだろう「いつもの支持者」にだけ向けてパフォーマンスを繰り返した。そして国民を置き去りにした。勝てなくて当然だ。  そして本題である。なぜ私がパヨクを、日ごろは「男女平等」だの「女性の権利向上」だのを声高に主張している連中を信じないのか。本気で女性の権利の為に戦っているとは思えないからだ。
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経済対策こそが喫緊の課題だろう
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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