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参院選の隠れた争点「原発再稼働」。原発攻撃のリスク回避かエネルギー確保か

「原発ゼロに現実性はない」と訴える茂木幹事長

茂木幹事長は原発ゼロを「非現実的」と批判

茂木幹事長は脱原発を「非現実的」と批判

 参院選前哨戦でもあった新潟県知事選(現職の花角英世知事が再選)でも、この構図(対立軸)は鮮明だった。ラストサンデーの5月22日、“隠れ原発再稼働推進派”とみられていた花角知事の応援に駆けつけたのは自民党の茂木敏充幹事長。新潟駅前で「原発ゼロは非現実的」と訴えた。 「ウクライナの問題は、決して対岸の問題ではない。日本を取り巻く安全保障環境、北朝鮮、中国、厳しさを増しています。我が国の新しい安全保障戦略、防衛体制を抜本的にこれから強化していきます。  そしてウクライナ情勢。原油価格の高騰が、さらにはエネルギー安全保障を考えた時に何の根拠もなしに『原発ゼロ』と訴えて現実性のない政策を出している。これでは新潟の経済も日本の経済も回っていかないと思っている。現実的で大胆な政策を進めることができる実績経験のある花角英世(64歳)か72歳の新人か。それを選ぶのが今回の選挙です。  自民党は全力で花角さんを応援します。そして公明党、国民民主党、連合の皆さんも花角さんを応援している。共産党、社民党、さらにはこちらの参議院議員(立憲民主党の森ゆうこ参院議員=新潟選挙区)の方が相手候補を応援する。この構図は知事選、そして2か月後の参院選も同じことになるわけです」
森参院議員(左から2人目)は、原発攻撃リスクを直視しない政府を批判

森参院議員(左から2人目)は、原発攻撃リスクを直視しない政府を批判

 一方、同日の片桐候補の街宣で茂木氏と正反対の主張をしていたのが、森参院議員だった。 「いまウクライナ戦争があって、『とにかく安全保障だ』と。もちろん国は守らないといけない。だけど、どうですか。北朝鮮に向かって、柏崎刈羽原発という世界最大の原発が北朝鮮に向かって立っているではないですか。これを何ともしようとしない。いくら国会で質問しても、誰も武力攻撃に対する安全の担保に、総理をはじめ原子力規制委員会も誰も責任を負っていないのです」

原発攻撃のリスクについて茂木幹事長を直撃

 二人の応援弁士の主張は大きく食い違っていた。そこで筆者は茂木幹事長を直撃した。 「茂木さん、原発攻撃リスクについて一言お願いします。北朝鮮から(原発に)ミサイルを撃たれたらどうするのですか。原発を動かさない方が安全保障上、よいのではないかとの意見もありますが」  しかし、茂木幹事長は無言のままだった。  原発攻撃リスクを直視して脱原発を推進することは現実的なのか、それとも非現実的なのか。新潟県知事選と同様に、参院選でも隠れた争点になると思われる。投開票日は7月10日の予定だが、与野党の論戦が注目される。 文・写真/横田一
ジャーナリスト。『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
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