フォルクスワーゲンが日本人に人気のワケ。輸入車だけど「慎ましく謙虚」
メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ……。これらは皆、ドイツを代表する輸入車のプレミアムブランドであり、「ドイツ御三家」とも呼ばれている。
「いつかは乗ってみたい憧れのクルマ」という認知が浸透していることから、今も昔も社会的地位を象徴する身近な輸入車として日本人に親しまれている。
そんななか、「輸入車の入門」として長年人気を誇るドイツ車がフォルクスワーゲン(VW)だ。1953年に正規輸入を開始して以来、今年で日本上陸70周年を迎える。
フォルクスワーゲンを語る上で外せない車種が「タイプ1」と「タイプ2」である。
前者は“伝説の大衆車”や“ビートル”、後者は“ワーゲンバス”という愛称で親しまれ、まさに不朽の名作と呼べるモデルと言えるだろう。
クルマのフォルムを見れば、一目でフォルクスワーゲンのそれとわかる独特のデザイン性は、人々の心に深く印象づけられたのだ。
そして、1974年にタイプ1の後継車種として発売された「Golf(ゴルフ)」は、今もなおベストセラーを続ける名車として人気を博している。
カルカーニさんは「ゴルフは世界でも、フォルクスワーゲンのアイコン的な存在として地位を確立し、自動車業界で最も成功した車のひとつと言われている」と語る。
「これまでフォルクスワーゲンが日本市場でマーケットを拡大してこれたのは、独自のポジションを築き、他の輸入車ブランドと差別化を図ってこれたのが大きいと感じています。それに加えて、コンパクトカーからセダン、最近では人気の高いSUVなど、幅広いラインアップを取り揃えているため、お客様の多様なニーズにお応えできているのも、ビジネスの成長に寄与していると考えています」
先に挙げた車種のほか、コンパクトカーの代名詞である「Polo(ポロ)」やコンパクトSUVの「Tiguan(ティグアン)」など、クルマユーザーのライフスタイルに合わせたラインナップを拡充してきた。
さらに、フォルクスワーゲン独自の「TDI」(クリーンディーゼルエンジン)を搭載した「T-Roc」や日本の道路事情にマッチしたコンパクトSUV「T-Cross」など、最先端のテクノロジーをフルに活用した車種を展開しているのも、優位性につながっているという。
こうしたなか、他のメルセデス・ベンツやBMVといったドイツ勢の輸入車とどのように差別化を図り、マーケティングやプロモーションを展開してきたのか。
カルカーニさんは「モデルによっては直接の競合が存在しなかったため、マーケットを開拓することができた」と話す。
「先ほどもお伝えした通り、フォルクスワーゲンは日本市場においてユニークなポジションを築き上げてきました。ドイツならではの高品質なクオリティはもとより安全性や信頼性の高さ、優れたパッケージング(クルマの設計やレイアウト全体のこと)を追求し、さらには『国産ブランドのクルマよりも輸入車を購入したい』と考えるお客様に対し、フォルクスワーゲンはエントリーモデルになること。これらがフォルクスワーゲンのブランド価値や強みだと考えています」
日本のクルマユーザーに支持され続けている理由や、EVシフトで目指す未来について、フォルクスワーゲン ジャパン ブランドディレクターのアンドレア カルカーニさんに話を聞いた。
日本で独自のポジションを築き上げたアイコン的クルマの数々
輸入車好きの「エントリーモデル」として支持されてきた
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
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