更新日:2023年02月20日 14:37
エンタメ

容姿いじりはネタにできない?『水ダウ』放送作家が語る「バラエティ番組のコンプラ問題」

ベテラン放送作家が語る「コンプライアンス時代」

 ここ数年、バラエティ番組を見ていると出演者が“コンプライアンス”という言葉を発するケースが増えた。たしかに社会規範や社会道徳を重んじることは良い傾向であり、順守されるべきではある。しかし、「あれもダメ」「これもダメ」では、面白いものが生まれなくなってしまわないだろうか。  現在の“コンプライアンス時代”にバラエティ番組を制作している側の人は何を考えているのだろうか。『水曜日のダウンタウン』(TBS系)といった人気番組から、『笑っていいとも!』(フジテレビ系)などレジェンド番組の制作にも携わった放送作家の大井洋一氏に話を聞いた。

自主規制するようになった企画は?

大井洋一氏

ベテラン放送作家の大井洋一氏

 まず、大井氏は“コンプライアンス”という抽象的な概念について、「視聴者が不快になるかどうかの基準と捉えています」と定義。次に今現在は自重されるようになった企画を聞くと、「物を壊したり、勝手に私物を売ったりなどはやらなくなりました。また、罰ゲームで女性芸人とキスさせられる、その反対として、女性芸人がご褒美としてイケメン俳優とキスできる、というものはなくなりましたよね」と話す。 「これは僕も携わった企画なのですが、『はねるのトびら』(フジテレビ系)で田中くん(アンガールズ)のお母さんの手料理を出演者が批判批評する、というものがありました。そのシーンを切り抜いた動画が、YouTubeやTikTokで違法アップロードされているのですが、『なんてひどいことするんだ!』みたいなコメントで溢れています。  放送当時は批判はさほどなかったように感じます。しかし、“出演者が嫌な気持ちになる”というシーンを見ることに抵抗感を持つ人が増えたため、そういった企画も難しくなりました。笑わせたいのに、その中に『これどうなの?』みたいな感覚が入るとノイズになって笑えなくなるので、当然そういう企画がなくなっているんだと思います」  そのまま続けて、「そもそも、『違法アップロードした動画なんか見るな、あまつさえコメントなんてもっとするな』とは思いますが(笑)」と制作側の思いを口にした。
次のページ
“ドッキリのプロ”による影響も
1
2
3
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki

記事一覧へ
おすすめ記事