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渡部建「もうやっぱりテレビには戻れないなって」現在は講演を中心に活動…語った“50歳からの再挑戦”

必要としてくれる人には感謝しかない

――当時はゴールが見えなかったようですが、今後はどのような挑戦をしていきたいですか? 渡部:もうやっぱりテレビには戻れないなって。でもそれは決して終わりじゃなくて、別の山登りをしていれば、また見えてくる景色が違うのかなっていう感じはしてます。テレビに背を向けるつもりはないのですが、もう一度あの舞台に立ちたいという気持ちよりも、裏方であっても今は僕を必要としてくれる場所で頑張りたいと思っています。 その一つが講演です。終了後、フィードバックシートに「こう感じました」「明日から会社で実践します」などの感想がドサッとくるんですよ。その面白さはお笑いのライブと似ていて、目の前のお客さんからダイレクトに反応がある。しかも、講演はその人の人生に影響を与えられるかもしれない。 テレビだと視聴者の方の生の声に触れることってないじゃないですか。あのままテレビのお笑いタレントを続けていたら絶対にわからなかった、やりがいと興奮をすごく感じています。 ――少しずつ司会のお仕事も増えているようですね。ラップバトル「破天MCBATTLE」の司会進行が話題になりました。 渡部:あまりテレビでは公言していなかったのですが、実はヒップホップやラップが好きでして。ラジオ番組をやっていた時に、よくアーティストの方に来ていただいたり、新曲をリリースされた時にご紹介させてもらっていたんです。 それをヒップホップ界隈の方が覚えていてくださって、すごく優しくしてくれるんです。「今まで渡部はヒップホップを支えてくれたんだから、今度は俺たちが応援する番だ」ということを言ってくださって。最初は「僕なんかが司会でいいんですか?」って聞き返してしまったのですが、「渡部がいいんだ」と言われて、涙が出るくらいうれしかったですね。ありがたいです。

苦しい時は渡部を見下して元気を出してください

――「50歳の再挑戦」は簡単ではありません。しかし、同世代の中にはリストラなどで、渡部さんと同じように再出発を余儀なくされる人もいます。何かアドバイスをお願いします。 渡部:まだ時期尚早だと思うのですが、一つだけ言えることは「苦しい時は渡部を見ろ!」ですね(笑)。行き詰まった時は、僕のようなどうしようもない、もっと底辺の人間を見るべきだと思います。世の中には自分よりも苦しい人間がいると思えば、少しは前に進めるようになるはずです。 最近は講演などでお悩み相談を受けることもあるのですが、「僕に比べたら、あなたは……」って言うと、みんな晴れやかな顔をして帰っていく(笑)。もはやキラーワードですよ。 ――しつこいかもしれませんが、引退はされないんですよね? 渡部:もうちょっとだけ! もうちょっとだけ頑張ります。引退はさすがに。戻ってきたばかりなので(笑)。  何が起こるかわからない激動の時代では、誰もがいつ足を取られて転落してもおかしくはない。叩かれても、蔑まれても、己のできることを積み上げていく。芸能人としては一度挫折しても、再起を図る人間・渡部建の生きざまは多くの人たちの指針になるかもしれない。 Ken Watabe 1972年、東京都八王子市出身。1993年、大学生の時に児嶋一哉とともにお笑いコンビ「アンジャッシュ」を結成。グルメリポーターとしても活躍、年間500軒を食べ歩き「芸能界のグルメ王」との異名を持つ。プロダクション人力舎所属。 取材・文/中野龍 構成/安英玉 撮影/杉原洋平
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