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暴走族がバイクを“改造”していた意外な理由。「鬼ハン」「三段シート」

②三段シート(後部座席に背もたれをつける改造)

三段シート

背もたれのついた「三段シート」。写真は、雑誌『ティーンズロード』より

 また、ほかにもポピュラーな改造が「三段シート」です。シートに背もたれがついたものですが、それは彼らなりの「安全対策」だったというのです。 「暴走族が“集会”を行う際に、自分のチームをアピールするために大きな旗を掲げて走ります。ただ、その旗は非常に大きなものが多く、“3畳旗”と呼ばれる旗は、その名のとおり、3畳ほどの大きさです(さらに大きいものでは6畳ほどの“6畳旗”などもある)。  その旗を“旗持ち”と呼ばれる人間が単車の後部座席で掲げるのですが、風にあおられてしまって、あまりの重さに後ろに飛ばされて落車してしまう人もいました。そこで、シートに背もたれをつける“三段シート”という形が誕生したんです」
三段シート

写真は、雑誌『ティーンズロード』より

 これもデザインのカッコ良さから広まっていき、ある意味「お洒落アイテム」として認知され、全国の暴走族がこぞって「三段シート」を取り入れていったという話なのです。

暴走族が「ガニ股」で単車に乗る理由

 余談ですが、暴走族が三段シートで二人乗りする際に、大股を開いて乗る(いわゆる「ガニ股」)スタイルにも理由があるそうです。 「三段シートを取り付けると、本来は2人乗りのシートの後部座席の半分が背もたれになってしまうため、後ろに座る人が前にずれ込んでしまいます。したがって運転している人間も必然的に前にずれ込んでくる。ただし、前にはガソリンタンクがあるので、足を開いて乗らざるをえない状況になるんです」  そこから暴走族独特の大股を開いたスタイルになったそうです。その姿は「イカつい」雰囲気で威圧感も出ますよね。しかしながら、そんな事情があったとは……。思わず目からうろこと言うか、暴走族の“進化”を感じてしまった次第です。  私の記憶が確かならば、日本の不良文化の中でもいちばん長く続いたのが「暴走族」。  もちろん、車検にも通らないような「違法改造」は決して褒められたことではないと思いますが、その歴史の長さから、たくさんの逸話も生み出されていることに興味を抱いてしまう自分がいるのも事実です。 <文/倉科典仁(大洋図書)>
伝説のレディース暴走族雑誌『ティーンズロード』をはじめ、改造車だけを扱うクルマ雑誌『VIP club』や特攻服カタログ『BAMBO』、渋谷系ファッション雑誌『MEN’S KNUCKLE』など、数々の不良系雑誌の編集長を務めて社会現象を起こす。現在は、大洋図書発行の実話誌『実話ナックルズ』のYouTubeチャンネル「ナックルズTV」や、ギャル男雑誌『men’s egg』をWebで復活させたYouTubeチャンネル「men’s egg 公式」のプロデューサーとして活躍中。
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