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岸田自民党を支持した未来に待つのは「ソコソコの政治」しかない/倉山満

「大阪とその他」の政党から躍進した維新

 自民党は、1勝4敗でもおかしくない数字だった。岸田首相も「勝った気がしない」と漏らしたとか。一方、日本維新の会は1勝0敗。馬場信幸代表は油断を戒めた。  ちなみに立憲民主党は、今回は無所属だが民主党政権の閣僚だった平岡氏も入れると、0勝4敗。岡田克也幹事長が「負けた気がしない」のような言い訳を漏らした。この党は、存在自体が間違い探しだ。  統一地方選で、日本維新の会は躍進した。これまでは「大阪とその他」の政党だったのが、都市政党、全国政党への足掛かりとなるだろうと思われている。維新の勝利は、計画性にある。  政治において、一過性の「風」は何度も起きた。小泉旋風然り、民主党旋風然り。今回の維新への順風とは比較にならない、大暴風雨の順風だった。そうした風に頼らず、維新は着実に勢力を拡大してきた。むしろ、風に頼らない勢力拡大により、風を起こしたと評すべきか。  では、なぜ風が起きたのか。国民の「マトモな野党第一党が欲しい」との声の反映だろう。

今や「日本政治そのものの社会党化」と呼ぶしかない状況に

 1955年から、常に与党でいたい自民党と、常に野党第一党でいたい社会党の1.5大政党制が始まった。最初の20年は、高度経済成長を迎えたこともあり、国民は不満に思わなかった。しかし、20年も過ぎると、何度選挙をやっても自民党が勝つ構造に国民は不満を持つようになった。  だが、いくら不満があっても、まさか社会党に投票する訳にはいかない。だから、政治そのものに不信を持つ無党派層が日本人の最大多数派となり、投票率は下がり続けて今に至る。社会党は消えたが、その後の、歴代なんちゃら民主党も社会党の劣化コピーにすぎない。  結果、「自民党に不満があっても投票したい政党が無い→無党派層が選挙に行かない→自民党が勝ち、ますます強くなる→自民党がますます増長する」のサイクルを繰り返してきた。社会党も「腐敗する→優秀な人間が出ていく→残った真人間の発言力が弱くなる→ますます腐敗する」の悪循環を繰り返した。  今や、「日本政治そのものの社会党化」と呼ぶしかない状況となっている。これを繰り返して、もう50年なのだから。
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岸田自民党の政治を支持した未来に待つのは「ソコソコの政治」
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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