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店舗激減の「まいどおおきに食堂」。業績悪化を招いた2つの要因

創業当時からマルチブランド展開だった

株式会社フジオフードグループ本社の沿革を見ていきましょう。創業者は大衆食堂を営む両親のもとで生まれました。ただし単に事業を引き継ぐのではなく、1979年の会社設立当初からレストランバーやカフェ、お好み焼き屋など様々な業態店を展開していました。 1985年には会社全体で30店舗を達成したようです。1988年に「まいどおおきに食堂」の第1号店となる「森下食堂」を開店しました。そして1997年には串揚げ屋「串家物語」の第1号店をオープンさせました。 一つの業態店にこだわらないマルチブランド展開を継続していたものの、2000年代からは好調な「まいどおおきに食堂」の店舗数を著しく増やしました。同チェーンは2003年に100店舗を達成した後、わずか3年後の2006年には300店舗体制となり、全社600店の約半分を占めるに至りました。 自分で選べる自由度や安さが消費者をひきつける要因となったようです。コロナ禍直前の2019年12月期末時点で全社919店舗体制となりましたが主な構成は以下の通りです。依然「まいどおおきに食堂」への依存度が高いことが分かります。 まいどおおきに食堂:421店舗 神楽食堂 串家物語:121店舗 麺乃庄 つるまる:58店舗 手作り居酒屋 かっぽうぎ:39店舗 その他:280店舗

閉店した店舗の多くが「FC店」

近年の業績を見ていきましょう。2019/12期から2022/12期までの全社業績は次の通りで、コロナ禍では業績が大幅に悪化しています。なお事業セグメントは直営事業とFC事業に二分されています。 【フジオフードグループ本社(2019/12期~2022/12期)】 全社売上高:384億円→268億円→255億円→265億円 全社営業利益:14.6億円→▲29.7億円→▲33.4億円→▲18.9億円 全社最終利益:4.6億円→▲50.0億円→7.1億円→▲34.0億円 全社店舗数:919軒→853軒→828軒→793軒 売上高(直営事業):364億円→255億円→243億円→250億円 売上高(FC事業):20.2億円→12.7億円→11.7億円→15.0億円 コロナ禍が始まった2020/12期は全社売上高が前年比で3割も落ち込み、その後も2022/12期まで回復することなく低調に推移しました。直営事業の減収がそのまま全社業績に影響しました。最終利益も2021/12期こそ助成金収入で黒字化を達成したものの、それ以外の年では大幅な赤字を記録。 一方、FC事業に関してはそもそもの全社売上高に対する貢献度が低いほか、セグメント利益は黒字を維持しました。閉店した店舗の多くがFC店であり、この点はFC本部としての強みが発揮されているといえます。
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2つの減収要因
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経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_

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