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正社員と非正規で、実際どれくらいの格差がある?元日銀副総裁がわかりやすく解説

日本の雇用制度と賃金格差

経済オンチの治し方

イラスト/岡田 丈

 同様の結論を導いている研究が最近増えています。  小前和智・玄田有史両氏の研究(『日本労働経済雑誌』’20年2・3月号)では、20~49歳男性の“狭義の正規雇用”(無期雇用でフルタイム労働の正社員)の時給は、“狭義の非正規雇用”(有期雇用で短時間労働)よりも20%高くなり、女性の場合は31%も高くなると報告しています。  また、短時間労働の有期雇用でも、正社員の場合は非正規よりも24%(男性の場合。女性の場合は54%)も時給が高くなることから、正社員であることが時給を高める決定的な要因であることを証明しています。  一般に、職場訓練と職場外訓練(管理職研修など)の機会は、正社員が優遇されます。これは賃金を引き上げる要因になりますから、正社員と非正規の賃金格差を拡大させる要因となります。  以上のように、日本の雇用制度では、正社員であることが、スキルアップを経て賃金を上昇させるうえで極めて重要になります。景気が悪く、新卒時に正社員になれなかった運の悪い人が、非正規から有期雇用や短時間労働の正社員を経て、無期雇用・フルタイムの正社員にまで上り詰めることも可能ですが、初めから正社員だった人との賃金格差はなかなか埋まりません。  このような日本の雇用制度をどのように改革すれば、正社員と非正規社員の賃金格差を大きく縮小できるかが、今後の日本の課題です。
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岩田の“異次元”処方せん
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東京大学大学院経済研究科博士課程退学。上智大学名誉教授、オーストラリア国立大学客員研究員などを経て、’13年に日本銀行副総裁に就任。’18年3月まで務め、日本のデフレ脱却に取り組んだ経済学の第一人者。経済の入門書や『「日本型格差社会」からの脱却』(光文社)、『自由な社会をつくる経済学』(読書人)など著書多数

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