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純利1兆円超え。トヨタはなぜ復活できたのか?“EV出遅れ”を挽回する5つのシナリオ

不安材料は中国市場の動向

 直近では営業利益の1兆円超え、中長期的にも電気自動車の開発への期待など順風満帆に見えるトヨタ。強いて不安材料をあげるとしたら中国市場の現状ということになります。  実は多くの項目で好調を示していた決算において、唯一と言っていいほどに数値を落としていたのが中国市場です。1〜6月の累計販売台数も前年同期比2.8パーセント減の87万9400台に留まっています。また、先月末には中国事業において人員を1000人削減することが発表されました。  中国では電気自動車へのシフトが急速に進んでいます。現状において遅れを取っているトヨタではどうしても分が悪いのは否めないところです。  その中でハイブリッド車(HEV)は健闘しており、トヨタも当面はハイブリッド車を中国における収益基盤として考えています。  

電気自動車のシェアをどれだけ獲得できるか

 その上でトヨタは電気自動車の販売において「2026年に150万台」を目標として掲げています。そして、この目標を達成するためには中国においても電気自動車のシェアを獲得することが必要不可欠です。  電気自動車の導入に積極的ということは将来的にトヨタの電気自動車のシェアを支える一大拠点となる可能性もあるということです。トヨタが中国市場において電気自動車のシェアをどれだけ獲得できるかが、将来的には成否を判断する上での大きなメルクマールとなるでしょう。
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新社長になって変わったメディア発信にも注目
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経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi

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