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“極厚”にこだわる牛たん専門店「3000円超えの定食から売れていく」納得の理由

「お客様の心の拠り所」を見出せたことでコロナ禍で急成長

古山智 コロナ禍直後の2020年4月に栃木県小山市にオープンした「仙台牛たん けやき」は、仙台牛たんをより手頃で食べられる業態としてスタートした。  当時はパンデミックの影響により、飲食業界が大きな苦境にさらされていた時期だったが、仙台牛たんけやきは、コロナ禍ならではの来店動機を喚起させ、堅調に成長していったそうだ。 「コロナ禍の全盛期は、旅行に行きたくても行けない状況下でしたが、ちょっとした“旅行気分”でお店を訪れ、『仙台に足を運ばなくても、本場の牛たんが食べられる』というお客様のニーズを捉えることができました。その結果、コロナ禍という厳しい環境の中でも着実に売り上げを伸ばすことにつながったんです」  カジュアルな業態への方針転換が功を奏したことで、もともと運営していた他ジャンルのお店も、牛たんのブランドに業態変更していった。 「日本一の仙台牛たん定食屋」を目標に、2020年から3年間で11店舗まで拡大。さらには、2022年6月から「牛たんに、ときめきを。」をコンセプトにリブランディングをし、翌年2月に「牛たん けやき 仙台一番町本店」、4月には三郷店、7月には麻布十番店と、全国展開に向けて首都圏への出店も進めている状況だ。

牛たんの“厚さ”へのこだわりや多彩なメニュー展開が差別化に

肉 そんななか、他の牛たん定食屋や専門店とどう差別化を図り、事業を展開してきたのか。 「当初から変わらずにこだわっているのは牛たんの“厚さ”」  厚さについて、古山さんは次のように続ける。 「『牛たんは固くて薄い』という既成概念を壊すくらい、けやきの提供する牛たんは、厚くてやわらかくて美味しい。牛たんの旨みを引き立てる味付けや、極厚なのにやわらかくできる熟成の仕方は企業秘密で、試行錯誤の末にたどり着いたものです。また、牛たんの素材に関しても、穀物を食べて育った北米やカナダ産の良質な牛たんのみを選定しており、脂と赤身のバランスが良いのが特徴となっています」  また、仕入れた牛たんを余すことなく使い切り、1,000円〜3,000円代の価格帯で、多彩なメニューを展開しているのもユニークな点だ。
極撰牛たん焼き定食

極撰牛たん焼き定食 3,850円

 
超極厚切三種盛定食

超極厚切三種盛定食 3,300円

 たとえば、数量限定の「極撰牛たん焼き定食」(3,850円)や、冒頭で触れた「超極厚切三種盛定食」(3,300円)、最上級の牛たんを堪能できる「特上たん焼き定食」(3,300円)といったものから、「仙台 熟成牛たん焼き定食」(1,980円)、「牛たん2種と鶏もも定食」(1,870円)※ など、来店客のさまざまなニーズに応えられるような定食のバリエーションがそろっている。※取り扱いのない店舗もあり
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3,000円超えの牛たん定食から完売する
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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